立ち上がりから名古屋学院大のスリーポイントが絶好調
第1試合は東海1位の名古屋学院大が関東の壁、そして第1シードの日本体育大相手に終始リードを握るという展開で初のベスト4進出となった。
中央大戦で15本のスリーポイントを決めた名古屋学院大は、この日も立ち上がりに#14永野(4年・PG)のスリーポイントを皮切りにアウトサイドがよく決まり、序盤一気にリード。開始5分で7-15となる。日本体育大は留学生同士の対決となって強みのインサイドでアドバンテージが取れず出遅れるが、ベンチから入った#9大森(4年・SG)のスリーポイントや#1コネ(2年・C)の得点で追い上げ、22-24で1Q終了。2Qは再び名古屋学院大のスリーポイントで幕を開けるが、日本体育大はようやく足が動き始める。変わらず#9大森が好調で逆転に成功。しかし名古屋学院大もタイムアウトを取って流れを断ち切ると、その後は#34高木(2年・SF)のスリーポイントや#6中嶋(4年・PF)の速攻などで流れを奪い返し、最後は#14永野のスリーポイントで47-48と逆転して前半を終えた。
日本体育大が2度目の逆転に成功も、名古屋学院大も離れず4Qで抜き去る
3Q立ち上がりはまたしても名古屋学院大#14永野のスリーポイント。日本体育大は#4小澤(2年・SF)がバスケットカウントやオフェンスリバウンドからの得点で気を吐き、#7西部(3年・SF)のスリーポイント、速攻からのダンクなどで一時7点のリードに成功する。名古屋学院大も#30ニャン(2年・C)や#0オコエ(4年・C)が粘って得点し、最後は#21中山(4年・SG)のスリーポイントで68-66と2点差に縮めて最終Qへ。
勝負の第4Q、この立ち上がりもまた名古屋学院大のスリーポイントが炸裂。#21中山と#14永野が立て続けに決めて逆転すると、#34高木のスリーポイントも続き、日本体育大のお株を奪うような速攻も決まった。日本体育大は#9大森が再三得点チャンスを作って食らいつくが、名古屋学院大のシュートは終盤に入っても面白いように決まり、差が開いていく。残り4分半、#14永野の7本目のスリーポイントが決まると差は12点に。日本体育大は最後まで得点を狙っていくが大きな差を埋めることはできず。87-105という大差で名古屋学院大が初のベスト4進出を決めた。
名古屋学院大は#14永野が7本のスリーポイントを決めて31点を記録したが、チームでも17本のスリーポイントを沈め、日本体育大の追撃の芽を摘んだ。テンポよく放つシュートに対して日本体育大はディフェンスで出遅れ、オープンに打たせてしまう場面が目立った。また、得点力のみならずスティールは11で日本体育大の5に比べ倍以上。ボールへの高い集中力とディフェンス力、2名の留学生が交互出場で攻守の存在感を出したことも勝利のポイントになった。
日本体育大は速攻が出た場面で2度逆転したものの、それ以外の面では持ち味を出しきれなかった。春トーナメント、リーグとここまで二冠を達成したが、インカレでは2005年以降は阻まれているベスト4の壁を破れずベスト8で敗退となった。
インカレの第1シードがベスト8以上に進めず敗れるのは、2002年の筑波大が東北学院大に敗れたとき以来で22年ぶり。
【囲み取材】「関東に勝つのは並大抵のことじゃない、チャレンジした選手たちが偉い。地方のチームに夢を与えられたと思う」竹之下 秀樹部長・監督(名古屋学院大)
◆試合を振り返って
「頑張りたい気持ちが空回りしたところもありましたが、途中で気が付いてボールがよく回るようになりました。うちの持ち味はやはりディフェンス。あとは留学生がしっかり言うことを聞いてくれるので強みが出せました。ここまでの点取り合戦は予想しておらず、僕らは80点が目安。スリーポイントはちょっと当たりすぎです。ただ、永野(#14)が昨年特別指定を経験してからだいぶ意識が変わってきたところがあって、それによってチームが引っ張られ、留学生とも連携が取れるようになりました」
◆日本体育大に足を出させなかった
「僕らも走り勝つ自信はあるんですが、最初はちょっと重かったですね。でも結局、ディフェンスが良かったと思っています。あとはボックスアウトをしっかりしようとか、ジャンピエール君(#23)とかコネ君(#1)とかと違うところで勝てればなと思い、うちの留学生たちはちゃんとやってくれました。それは大きかったです」
関東に勝つのは並大抵のことじゃない。私は約40年ヘッドコーチをしていますが、今日の結果は地方のチームに夢を与えられるんじゃないかなと思います。しかもインカレの1位(のシード校)に勝つ、(トーナメントの)四隅を食うというのは大変なことです。そこにチャレンジしていった選手たちが偉い。お客さんにそれを見ていただいて、いいチームだなと思っていただけるのが一番の希望です。地方の選手、チームでも頑張れるとみんなに見せられたわけなので」
◆昨年の緒戦負けからの1年
「いろんな人が我々を助けてくださるので、選手もそういうところは少し大人になって分かってきたのかなという感じはします。人としての成長の上に選手としての成長があると思っているので、そういうところを常に彼らとはコミュニケーションをとりながらやっています。人として我慢しなきゃいけないところ、乗り越えなくてはいけないところがあるから、大人がしっかりコントロールし、あえて試練を与えます。彼らがそれを乗り越えたりしていくことでお互いにコミュニケーションが出来て、チーム力が上がるというのが僕の哲学なので、それがこういう結果になったのかなと思います」
◆Bリーグができたことで、選手が「ここで結果を出せば評価される」という意識はできてきたか
「それはあります。そしてこちらもバスケットのことだけじゃなくて、自分の体のことや食事を含め、自分でできるようになると強いよというのは常日頃男女ともに言っています。それは我々が管理することではなくて、自分でコントロールしなくてはいけない。食事の指導などは人にしていただいていますが、少しずつ意識が高まっていると思います」
◆東海連盟は試合数が少ない中でどう強化を
「Bリーグの方だとか地域リーグの方だとかと仲良くさせていただいて、よく練習試合をさせていただきます。彼らの方がカテゴリーは上なので、彼らと戦うにはどうすればいけないかをちゃんと考えます。やはり自分で考えて自分で動くことが大事だと思います。我々はそれをお膳立てするだけです」
◆1週間の準備は
「残してきている分析の子たちとかがデータを整理して、我々はそれを一生懸命やるだけ。周りの方がいなかったら絶対にできないことです。そして感動を与えるのがスポーツなので、プレーだけではなくて皆さんに観ていただきたいし、選手には恥ずかしくないプレーでコートに立って欲しいと思います」
【囲み取材】特別指定で得たものをチームに還元し「関東相手にもやれる」とチームを鼓舞/#14永野威旺(名古屋学院大・4年・主将・PG)
◆勝利した今の気持ち
「勝ちにはいっていたんですが、まさか関東の王者を倒せるとは思っていなくて、本当に嬉しいです。自分たちはチャレンジャーなので負ける可能性はあるにしても、気持ちだけは勝ちに行こうと話していて。本当に驚きです。
◆最初にスリーポイントを決めて流れを作った。最後までシュートが入り続けた
「前回の中央大学さんとの試合でチームメイトに助けられたので、今日は自分が助ける番。その意識で今日は頑張っていました。相手は王者なので何があるかわからないので、集中力だけは切らさないようにと思って意識し、最後までやっていました」
◆チームとしていけると思ったタイミングは?
「試合開始から自分たちの強みは出せていたので、最後まで粘って我慢して4Q途中でやっと勝ちが見えてきたかなと思います」
◆4Qの頭で立て続けに入った。そのときのマインドセットは?
「ここまで来たら勝ちたいという気持ちがあったので、チームのためにやるべきことをやろうとその一心でした」
◆Bリーグの特別指定選手を経験してチームにもいい影響を与えていると監督の話があった
「自分だけで消化するのも勿体無いので、試合に向けてのマインドセットだったり、練習だったりというのをみんなに伝えていました。チームに関東相手にやれるという感覚がないという状態を、やるために必要なことやマインド次第で関東相手にやれるというのを、シーズンを通して伝えてきました」
◆フィジカルの強さも関東に負けていない
「ウエイトトレーニングを含めしっかりやってきました。東海地区の中京大学も本当に良いチームで、切磋琢磨もできました。中京大学も関東を相手にかなりいいゲームをするので、中京大学に勝てば関東にも勝てるというのがあるので、フィジカルだったりはみんな意識していると思います」
◆特別指定で何が一番糧になったか
「元々自分はシューティングガードでコントロールはあまりしてきませんでした。でもBリーグでポイントカードをするにあたって、周りの使い方や自分で攻めるところの使い分け方をコントロールできるようになったところも、自分の成長に繋がったかなと思います」
◆準決勝に向けて
「(チームの)誰も経験したことがない舞台。やれるだけやって、できるだけ勝とうかなと思っています」