ブロックステージの対戦を終え、トーナメントがスタートした。トーナメント初日は12試合を行い一気にベスト16が決まった。
関東勢同士の対決は拓殖大が明治大を、筑波大がブロックステージを勝ち上がった山梨学院大を、早稲田大が青山学院大に勝利した。
関東以外の連盟からは福岡経済大(九州1位)、名古屋学院大(東海1位)、中京大(東海2位)、神戸医療未来大(関西2位)、京都産業大(関西1位)がベスト16に進出した。
そして5日(木)からはいよいよ8シードの大学が登場し、頂点をかけた戦いはさらに一段階ギアが上がる。
終盤まで争った攻防は拓殖大が勝負強さを見せて明治大に勝利
ブロックステージを勝ち上がった拓殖大は、トーナメントが緒戦となる明治大と対戦。両者は今季関東1部リーグではともに2部入れ替え戦に進み、明治大は1部残留、拓殖大は2部降格となった。実力的には似ている同士ゆえに、立ち上がりから大きな差はつかなかった。
序盤は両者とも攻めあぐねる展開。どちらもシュート力が持ち味だが決まって来ず、リバウンドを多く押さえた明治大が前半はリードした。しかし3Qに明治大にミスが続くと拓殖大が逆転。明治大はこのQ4点しか取れずに引き離された。しかし4Qになると奮起。拓殖大がミスからターンオーバーが続く中、残り1分で2点差にまで詰め寄った。しかしここで流れを断ち切ったのは拓殖大だった。1分を切って#18石橋(4年・SG)のスリーポイントが決まり点差を5とすると、さらに#35加藤(4年・PF)のブロックが続き、これで流れを掌握。明治大は最後に#13平松(4年・PG)がスリーポイントを沈めるが、拓殖大はフリースローを決めてゲームを締め、60-63。リードを守りきって勝利した。
【INTERVIEW】「自分たちがやってきたことを、3年生以下のメンバーに伝えるプレーを」#18石橋永遠(拓殖大・4年・SG)
終わってみれば4本のスリーポイントを沈めて14得点だが、途中はミスもあり苦しい展開だった。それでも追いつかれる可能性があった中でエースシューターたる石橋が沈めた1本は大きく、勝利の鍵となるスリーポイントに「入って良かった」と安堵した。
入れ替え戦に敗れチームは2部降格となってしまった。4年生5人がスタメンを務めるだけに忸怩たる想いはあるはずだ。しかし最後のインカレでは最終学年の想いに浸りきらず、「3年生以下のために」と4年生全員で気持ちをひとつにし、グループステージから戦っている。次は第1シード・日本体育大が相手となるが、チームへの想いを胸にぶつかってゆく。
─明治大との対戦は、競り合いとなりました。
「個人としてはあまり出来が良くなかったんですが、チームとしてはずっと“チームで戦おう”と言ってきて、それを一人一人がやることができたから、今日は最終的に勝つことができたかなと思っています」
─石橋選手もマークされて気持ちよく打てるシーンが少ない中での試合でしたね。その中で終盤のスリーポイントが大きかったです。
「それでも強度高くプレーをして、決められないと。守られていても、最後は絶対に打とうと思っているので、空いたら打つようにとは常に考えていました。最後は絶対に自分が決める気持ちがあって、前半、そして後半途中まで良くなかったけれど、それでもシュートを決めるっていう意識があったので、それで最後は決めきれたと思います」
─入れ替え戦も経験したあとのインカレでした。2部降格という中で難しい切り替えだったのでは。
「入れ替え戦の後は、今の3年生以下の人たちのためにやろうという話を4年生全員でしていて、練習中から3年生たちに今まで自分たちがやってきたこと、経験してきたことを話して、どうやって伝えるかを意識してやってきました。今日の試合もコートには4年生が出ているとはいえ、3年生以下のために上に勝ち上がってやっていこうと、その気持ちは4年生全員が持って試合をしていたと思います」
─その気持ちは具体的にはどのようなところに現れていたでしょう?
「リーグ戦で勝てた試合というのは、映像を見ても個々がやることをしっかりやって勝った試合だったので、自分もまずやることをやろうと思ってプレーしていました。ほかの人の良いところを一人ひとりが理解して、それをうまく合わせながら試合でやっていくということをやれていることで勝ちへとつながります」
─下級生に「話して」伝えるということでしたが、ここまでも強く意識していたのでしょうか?
「自分は2年生くらいから試合に出させてもらっていますが、自分が先輩から教えてもらったことを下の世代に還元していくことはすごく大事だと思っているし、入れ替え戦に負けてしまって2部に降格してしまいましたが、来年にしっかりつなげていくためにも、自分が教わったことはしっかり教えていこうと思っていました」
─最後のインカレにかける思いはあると思います。どのようなことを考えていますか?
「自分たちは挑戦者なので、ここまでやってきたことをしっかり出せればいいと思っています。次は日本体育大が相手ですが、粘れば絶対に自分たちの流れがくるはずなので、それができるようにやっていこうと思います。挑戦すれば必ず勝機があると思います」
筑波大は立ち上がりから好調、山梨学院大はトーナメント緒戦で敗退
関東勢同士の対戦のひとつ、筑波大と山梨学院大の戦いは、1Qから筑波大が先行した。リーグ戦中から攻守が重く得点面の伸び悩みがあった筑波大はこの日は試合序盤から積極性が光り、23-12とすると、一時は20点近い差をつける。山梨学院大は3Qまでは押さえられて苦しい状態で、一時は20点近い差がついたがディフェンスから返して#90野溝(4年・PG)や#14菅野(1年・PG)のシュートや、#98スヴェトリシック(2年・C)の速攻につなげて一桁にまで縮める場面もあった。しかし筑波大もこの日はリバウンドが強く、スリーポイントも安定。87-71で緒戦突破。山梨学院大はここでのシーズン終了となった。
早稲田大は4Qに足を使った猛攻で青山学院大に逆転勝利
今季ともに1部昇格を決めた青山学院大と早稲田大の対戦は、立ち上がりで青山学院大の#12広瀬(2年・SF)のスリーポイントが立て続けに決まり、#7進(4年・SF)の速攻からのダンクも炸裂し、一気に12-4と開いた。しかし早稲田大もそこにひるまずスリーポイントで取り戻し、互いに取られたら取り返すというスコアリングゲームになった。前半は2Qにセカンドメンバーも好プレーを見せた青山学院大が48-39とリード。
後半3Qは青山学院大のシュート確率が落ちてくるが、早稲田大も外が入らず青山学院大9点のリードで4Qに入ると、ここから一気に反撃に出る。武器のひとつである機動力を軸に、ディフェンスリバウンドを取ってから走って早い展開で次々にゴールを奪っていくと、残り約5分で同点に追いついた。そこからは互いに決まらない時間が続くが、青山学院大は#12広瀬、早稲田大は#5堀(3年・F)が決めあい、残り1分半で早稲田大が2点のリード。さらに、1分を切って#18岩屋(3年・F)の値千金のドライブが決まり、4点のリードに成功する。この得点が勝負の分かれ目となり、青山学院大はここからの逆襲はならず72-77。早稲田大が4Qの逆転劇で今季2部で戦ったライバル対決を制した。