【インカレ2020】12/10レポート(Bコート)

2020インカレ
粘った近畿大はベンチの活躍も大きい。

初出場・明星大は思い切りよく専修大に挑む

1回戦不戦勝となった明星大は、緒戦でいきなりシードの専修大との対戦になった。前半は持ち味を見せ、サイズのミスマッチを活かしたスピードや、得意のシュートを放っていくが、後半は失速。専修大は#46寺澤(3年・F)が好調だったほか、5人が2桁得点で勝負をつけた。次は筑波大とベスト4をかけて戦う。

専修大はここまでまだ本領発揮という状況ではない。昨年の決勝の再戦となる筑波大相手にどんなプレーを見せるかに注目だ。盛實(現B1渋谷)のような一発必中の点取り屋はいないが、#12西野(4年・F)を筆頭に誰でも点が取れる。#13スティーブは荒々しいがパワーと俊敏性は留学生の中でも目立つ。日本人のビッグマンを揃える筑波大と必見の戦いになる。

怪我から復帰の寺澤。16得点、ダンクも見せた。

近畿大が日本体育大を下し、5年ぶりにベスト8進出

この日のBコートの大一番は第2試合の日本体育大近畿大の戦いになった。

立ち上がりに#9パトリック(3年・C)のゴール下、#36榎田(4年・PF)がフリースローを得たものの、すぐに#9パトリックが2ファウルとなってしまった近畿大。1Qで20-10と出遅れ、この点差が終盤まで響く形になった。2Qは#56米澤(2年・SG)の速攻が出て持ち直していくが、追い上げられそうになると日本体育大も得点して流れを断ち切ろうとしていく。しかし2Qの得点は10点にとどまり、前半は30-24の6点差。3Qも流れは変わらず一進一退のまま進んでいく。近畿大は傷こそ大きくないが詰めきれないというまま4Qに入るが、残り5分になったところでゲームが動いた。じわじわと差を縮めていった中、この日好調の#56米澤のスリーポイントが決まり56-57とついに逆転に成功する。日体大も攻めるが決めきれず、残り2分になると#9パトリックがゴール下を連続で決めて、近畿大の優勢が決定的に。その後はフリースローなどを獲得した近畿大が逆転勝利、ベスト8に駒を進めた。

日本体育大は前の京都産業大戦で決まった3Pが近畿大に対策され、精度を欠いた。インサイド勝負は互角で、リードはしていたものの一気に抜け出すことができず。終盤に勢いづいた近畿大を止められなかった。近畿大ベスト8に進出するのは2015年以来となる。

4ファウルしたあと、ベンチで主将の榎田とも話し、最後は落ち着いたプレーを見せた#9パトリック。3年目にして関東のチームに勝利した。

【近畿大INTERVIEW】「ベンチメンバーがつないでくれたことが勝因」◆#36榎田拓真(4年・PF)

安定感のあるプレーはチームの核だが、2戦目は練習中の怪我で膝に大きなテーピングが巻かれたが、彼がそこまでパフォーマンスを発揮せずとも、チーム力が上がってきたおかげで日本体育大を倒すことに成功。次は2012年、シェリフ・ソウを擁したチーム以来のベスト4と関西に1枠持ち帰れるかどうかがかかる。この勢いのまま駆け上がれるかに注目だ。

ーベスト8おめでとうございます。
「やっと勝てた感じですね。最初はパトリック(#9)が2ファウルと込んでしまって、試合の入り自体も悪いかなと思ったんですが、ベンチメンバーがここぞという時につないでくれたのですごく助かって、それで勝利できました」

ー2Q以降、日本体育大の得点を抑えたのも大きいと思いますが、ディフェンスではどのようなところに気をつけていましたか?
「トランジションが早いチームで、キックアウトのスリーをかなり京都産業大もやられていました。スリーポイントが入れば日体大が勢いづくかなと思って、そこを止めようとは思ってディフェンスは考えていました」

ー一方で自分たちの得点はなかなか伸びませんでしたが、それはどう考えていましたか?
「こちらがセットを使おうとしたら、やはり日体大も研究してきていて、対応されて足が止まってしまって孤立してしまう状況でした。それでなかなか点につながりませんでしたね」

ーでも接戦ではあったのでいけるかなという感覚もあったのでは?
「10点差以内ぐらいでずっと試合が進んでいたので、3Qのところは少しやられたんですが、そこから持ちこたえてしっかりついていけました。うちのペースではないですが、ついていけた部分が大きかったです」

ーパトリック選手もファウルはありましたが、落ち着いていましたね。
「最初に2つした時は大丈夫でした。でも四つ目のシュートファウルの時に交代した時は、気持ちが下を向いてしまっていましたね。『僕も我慢しているのに』というような気持ちが自分の中にあったんだと思うんですが、そこで僕がパトリックと話せたので、あいつも前を向いて4Qは我慢してやってくれた部分が大きかったです」

ー何と言ってあげたんですか?
「『お前は我慢できてるよ』と。『バスケットで吹かれるのは仕方ないことだからあと10分あるし、4点差だから全然いけるやろ』って。そのことについて1分ぐらい話していたんですが、そうするとパトリックが前を向いてくれました。彼の中でも意識が変わったんだと思います。最後の方は落ち着いてやってくれていましたね」

ーパトリック選手は自分でも言っていましたけれども、メンタル面が安定してきたことでチームとして試合の安定化につながってきている気がしますね。
「やはりパトが安定しているとチームも安定するし、少し下を向いてしまうとあかん部分がチームの特色だと思っています(苦笑)」

ーただ、近畿大自体は試合に絡める選手が数年前よりもかなり増えてきたのでは。
「その通りです。昨年度までならスタート+2人ぐらいしか試合で使われなかったんですが、底上げしてきて、どんどん使える選手が増えてきました。そこは体力的にも調子的にもすごく助かっています」

ー榎田選手が下がっている時間帯でも安心して見ていられるチームになったなと思います。
「ベンチメンバーがすごくつないでくれたり活躍してくれたりするので、そこの場面で僕がベンチでもずっと喋って、コート外でもコミュニケーションを取ることができますね」

ー次はベスト4がかかりますね。
「帰ってしっかりケアをして、勝ちにいきたいと思います」

プレーでも、それ以外のことでも主将としてやるべきことを果たしている#36榎田。

筑波大は大苦戦、白鴎大は競り合いから抜け出す

筑波大は1Qこそサイズとフィジカルで中京大を圧倒するも、その後はミスが続いた。原因の一つはミスマッチ。ビッグラインナップの筑波大にとって、サイズが小さい分、スピードで勝る中京大のような相手は最も苦手とするところだけに、ボールを展開する以前にミスが続いた。中京大は2Q以降は持ち味を活かし、またタフショットもよく決まって逆転する場面も。しかしその都度なんとか#27山口(4年・SG)がシュートを決めてまさにギリギリで逃げ切った。次は専修大との対戦になる。

白鴎大は2年ぶりにインカレに出場した明治大の挑戦を受けたが、大きく突き放せない時間が長かった。明治大は#34冨田(4年・F)や#7植松(4年・PF)といった4年生が踏ん張り、一進一退の攻防を続けたが、追い上げきれない状態から抜け出せず、4Qになると10点ほどの差をつけられる展開となっていった。白鴎大は次戦で近畿大との戦いになる。関東の4シードを守りきれるかどうか別の意味でも重要な試合に注目したい。

筑波大はプレーで見せると言っていた#27山口がその通りのプレーで最後はチームを救った。

※明星大#29新田選手、明治大のインタビューはのちほど追加します。

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