【インカレ2020】12/8レポート(1回戦)

2020インカレ
近畿大はバレーとの二刀流選手#8フランシス、#10高原など、期待のルーキーも入り選手層に厚みができてきた。

男子は代々木第二体育館で4試合が行われた。大会辞退の大学が出たため、もともとの試合予定を変更し、東海大と星槎道都大の試合が大田区会場から代々木に移動。これで1回戦の男子はすべて代々木開催となった。東海大・専修大・白鴎大の関東のシード校に、関西の注目校・近畿大が勝ち上がった。

近畿大は#9パトリック・#36榎田を主軸に全員出場で勝利

近畿大は東海3位の静岡産業大相手にインサイドの#9カロンジ(3年・C)、#93大町(3年・C)の、ツインタワーを武器に1Qからリードすると、2Qはベンチメンバーを主体にする余裕の展開になる。静岡産業大は#3水谷(3年・SG)、#17冨井(4年・SF)、#70原(4年・PF)らが攻めていくが近畿大のアタックが続いていく。結局メンバーを全員起用し、堂々の勝利となった。2回戦は日本体育大と京都産業大の勝者との対戦になるが、このハードルを超えられるかどうかが注目となる。

近畿大は#9パトリックと#93大町のツインタワーも脅威だ。

【INTERVIEW】「最も成長したのはメンタル面」◆#9カロンジ パトリック(近畿大・3年・C)

スリーポイントやランニングダンクなど、派手なプレーを連発。3回目となるインカレは昨年までとは少し異なり、コート上でプレー幅が広くなり、精神的にも落ち着いた様子を見せている。インカレの戦績は、1年のときはケイタのいる日本大、2年目はフィリップのいる専修大相手にどちらもファウルアウト。しかし今年はチームとして選手層も厚みを増し、今回こそはという気持ちはあるだろう。次戦の相手は関西のライバル・京都産業大か、高校時代の後輩が在籍する日本体育大学。どちらが来ても負けられない相手であり、注目のマッチアップが展開されそうだ。

ー初戦を振り返っていかがでしたか?
「入り方は良かったと思う。これから明後日の試合に向けて、明日もう一度練習してみんなで集まって、2回戦の相手は弱くないと思うからどうやればいいか確認します。これから用意して向かっていきたいです」

ーチームのコンディションと、自分のコンディションはいかがですか?
「悪くないと思うし、今日の映像をもう1回みんなで見直して、悪い部分を見て、次のステップをどうしていったらいいかを考えます」

ー次の相手が京都産業大学か日本体育大学の勝者になります。それぞれの印象は?
「京都産業の場合はいつもやっているチームなので、どうやってくるかというのはほぼ100%分かっている。日本体育大の場合は初めてで、何をやってくるかまだ分からない。当たった時はやるしかないという気持ちでいる。お互いの力を確かめることになると思う」

ー日本体育大には東山高校時代の後輩であるクリスティン選手(#21)もいますね。対戦してみたい気持ちはありますか?
「 やれたら大学では初めて敵として戦うことになりますね(笑)」

ーもう3年になりますが、パトリック選手がここまで成長したと思える部分はどこになりますか?
「今まではゴール下のプレーばかりだったので、あまり外のプレーをやったことがありませんでした。1年2年はそういう感じのバスケばっかりしていました。インカレに出ても何度も5ファウルで退場したりということがありました。自分もこれから将来に向けてどうしたらいいかというのを考えていて、ゴール下だけではなくって、それ以外の動き、3番4番のポジションをやってみたり、自分がどうなってにいきたいかを考えて、必要なレベルまで達しないとこれから困るなと思っています。だから外に出てプレーしたりしていて、いろんなところが成長したと思います」

ーメンタル面でも成長しましたか?
「一番はそこだと思います。今まではずっとメンタルが駄目になってしまったり、怒ったりイライラしたりしていました。今も怒ったりするのは少しはあるけれど、ほとんどなくなって、今自分がやることしか考えないようになりました」

ー今年のチームの強みを教えてください。
「いいシューターがいるし、自分が4番5番ポジションをやったりするし、去年のチームと比べたら試合に出る選手が増えているので、自分もちょっとラッキーやなって思うぐらい。 すごくやりやすいチームだと思います」

3Pを決めたときは、コート上で拳を握りしめて歓喜していた#9パトリック。

東海大は星槎道都大相手にミスが多く出るが、後半は修正し100点ゲーム

第1シードの東海大は、星槎道都大相手に2Qにミスが目立った。1Qこそ25-14と出足は悪くなかったが、2Qになるとパスミスや連携のミス、ターンオーバーが相次いだ。その間に星槎道都大が#22伊藤(2年・PF)を中心に得点を重ね、このQのみは19-23と星槎道都大がリード。しかし東海大は後半切り替え、#18津屋(4年・F)や#19西田(4年・SG)の3Pが続くと、流れが好転。3Q終了時には30点差をつけることに成功し、4Qにはベンチメンバーも全員出場させると、最後は101-66で締めくくった。

東海大#23佐土原は34得点。オータムカップから崩れることなく抜群の安定度を誇っており、陸川監督も絶賛。

初戦だとしても東海大にしてはミスの多い試合となったが、この展開となった理由の一つに挙げられたのが、リングの硬さ。ボールが思った以上に跳ね、シュートの感覚が微妙に狂うとともに、チーム全体のミスもどんどん誘発されてバラバラになってしまった。陸川監督「この会場を最初に経験できていたよかった」と会見で語ったが、元の予定では東海大が代々木第二体育館で試合をするのは、決勝に進んだときのみとなっていた。しかし辞退校が出たおかげで枠が空き、関係者の配慮で代々木に会場変更。代々木の感覚を経験できたことが何よりも大きいという初戦になった。2戦目以降はきっちりと合わせてくると考えられるが、本来の東海大らしいプレーを見たいところだ。

また、一方の星槎道都大は#22伊藤がフル出場で31得点。立ち上がりこそ東海大のディフェンスに阻まれたが、その後は自分のリズムで得点を重ねた。後半は離されたものの、チームとして東海大から奪った14のターンオーバーは見事といえる。

星槎道都大#22伊藤は、東海大にも負けないフィジカルで果敢に攻め続け31点。フリースローも8/11と高確率。

【東海大学会見】「初戦で代々木の感触を経験できて助かった」◆陸川 章監督

◆2Qのミスが目立つ試合だった
「まず代々木で試合ができて非常に良かったなと思う。リングが非常に硬いですね。みんなゴール下をポロポロ落としてしまって。颯太(#11大倉)まで落としたのは初めて見ましたね。ただ戦っている相手が試合をしている間にもどんどん変わってきていてもいた大会を辞退するチームが出たということもあるが、関東の1位が代々木で試合ができないということで配慮してもらい、時間と会場が変更になった。予定では決勝だけが代々木だったので、リングの感触なども全然分からないままだったと思う。だから非常に助かった」

◆リングの硬さだけがミスの理由か
「その時にうまくいってないことをチームで解決せずに、個人個人になってしまって、そこでバラけてしまったように思う。相手は非常に集中を保っていたし、それで流れが星槎道都大さんにいったのだと思う。2Qはイージーなミス、シンプルなキャッチミス、ゴール下もボロボロと落ちてしまって、本当にリズムに乗れない中で流れが狂った。その中で佐土原(#23)だけは自分のプレーをしっかりやっていた」

◆後半は何を伝えたのか
「これがインカレだと。みんなが一つになってやらないと絶対にうまくいかないということ、もう一度我々が何のチームなのか、オフェンスのチームではなくてディフェンスからのチームだと。そこでプレッシャーからいい流れが出たのではないかと思う。後半は本当に一つの生き物というか、チームになってプレーできていた」

◆次の試合に向けて
「やはり我々のバスケット、ディフェンスを信じて。今、選手もミーティングでそれは最初から出来なければいけないと言っていた。全くその通りだと思う。私としては個で戦うのではなく、ちゃんとチームとして、一つになって戦うこと、それを最初からやり続けようと言いたいし、それが次の試合のテーマになるんじゃないかと思う」

【東海大学会見】「会場の感覚にすぐアジャストできなかった」◆#86八村阿蓮(3年・C)/「違うところに意識が向いていたのがチームとしてミスの原因」◆#5河村勇樹(1年・PG・福岡第一)

◆#86八村阿蓮(3年・C)
「全体的に固くて、僕自身もイージーシュート落としたりしたが、皆のミスが多く、よくない流れだったと思う。緊張は個人的にはなかったが、ミスが多かったというか、どこか固かったのかもしれない。いつもの感覚と違うリングで、ゴール下も少し跳ねるとボールがこぼれていってしまうという感じだったので、そこにすぐアジャストするのが難しかった。後半3Qからは自分たちのディフェンスをすることができた。でもこうしたイージーミスをなくさないとインカレでは優勝できないし、ここでこの経験ができたのはいいことだと思う。代々木は観客がいないので何ともいえないが、客席も近くて天井も近いのでいつもとは違う感覚だった」 

◆#5河村勇樹(1年・PG・福岡第一)
「初戦が大事になるというのはチーム全体で話していた。内容的には東海としても失点が多くて、満足いく試合ではなかった。これから1日あるので、そこでしっかり修正して次の試合に臨んでいきたい。2Qについてはベンチから見ていてシュートはうまく打てていたし、チーム的にもオフェンスは組み立てられていた。あとは本当に他の体育館とは違う感覚があって、チーム全員がフォーカスするところを間違って、違うところに意識が向いていたところが前半の良くなかったところだと思う。後半はしっかりディフェンスをよくしてやっていこうという話をして、よい出来だったと思う」

この試合ではふるわなかった#86八村だが、この次からはインサイドでの働きが重要になる。

専修大・白鴎大も余裕を持って初戦を突破

専修大はオータムカップで多発した怪我人も戻り、強いインサイドと早い展開を織り交ぜ、名古屋学院大相手に危なげなく初戦クリア。白鴎大は立ち上がりこそ東海大札幌のディフェンスの前にミスが続いたが、2Qでディフェンスを締め直して立て直すと、その後は得点を重ね、最後は4年生を主体にしたメンバーをコートに立たせる余裕の展開に。最後は50-102のダブルスコアで試合終了となった。

専修大は#23キングほか、怪我人が戻ってきた。

【INTERVIEW】「今やるべきことをしっかり認識し、自分が発信していく」◆#39藤岡 慎太朗(白鴎大・4年・主将・PG)

コートに入るとすぐにいろんな選手に声をかけていた#39藤岡。

オータムカップで「今年のチームの核は」という問いに対し、網野監督から名前が上がったのが彼だった。コートに長く立つ訳ではないが、声を出してチームメイトを気にかける。インカレ初戦も流れが悪い時間帯にコートインすると、メンバー個々に声をかけて回っていた。背中で引っ張るメンバーに加えて、声を出す選手がいることが今年の4年の特徴という。この先の戦いにその相乗効果が出ることを期待したい。

ー初戦の出来はいかがでしたか?入りは少しもたついたかなと思いますが。
「全体的には結構よかった方だと思います。確かに入りの部分が少しゆるく入ってしまったところがあってそこはよくなかったが、自分達の持ち味であるディフェンスからスティールして得点につなげていけました」

ー流れに乗れない時間帯に選手を交代してディフェンスを締めたり、また藤岡選手がコートに出てきた時にみんなに声をかけているのが印象的でした。
「自分の持ち味の一つは声だと思っています。声でガードが鼓舞してやることが大事なので、そういうことはかなり意識してやっています」

ーオータムカップの時期は教育実習もあったと伺っていますが、戻ってきてからのチームの印象はいかがですか?
「自分がいない時は結構練習では声が出ていないとか、静かだったということを聞いていたんですが、戻ってきた時はそんなことはなく、いい形で練習はできている印象はありました。戻ってすぐにオータムカップで東海との試合だったんですが、そこで自分たちの課題が見つかりました。その後の筑波大戦の3位決定戦も同じような負け方をしてしまいました。そこからインカレまで時間はなかったですが、自分たちが何をしなければいけないか敗戦のおかげで明確だったので、練習中から意識してやってきました」

ー誰でも同じようにプレーできるのが白鴎大のよさですが、リーダー として今後期待していきたい選手はいますか?
「1年生でスタートになっている脇(#2)ですね。歴代でも1年生からスタートで出ている選手はおそらく初めてだと思うので、網野さんとしても期待していると思いますし、僕も期待してきたいと思います」

ー昨年は4年生がたくさんいて、彼らが引っ張ったチームだったと思います。今年の4年生たちはどんな風にチームを導こうとしていますか?
「自分を声を出してやるタイプですが、残りの4年生は背中でプレーで見せて行く感じの引っ張り方をしています。去年の4年も声を出して引っ張るというよりは、プレーで引っ張る人たちでした。今年もプレーで引っ張る選手に加えて、声を出す自分という存在があるのが特徴だと思います。そこは去年と違っていいところなのかなと思っています」

ー今日は終盤に藤岡選手のシュートも決まって盛り上がりましたね。代々木でシュートを決めた気分はどうでしたか?
「最高でした。すごく気持ちがよかったです」

ー次の戦いに向けて、キャプテンとしてはどのようなことをしていこうと考えていますか?
「自分たちの持ち味であるディフェンスをしっかりやることと、リバウンドを取りきることを自分がコートに出ているときもそうでないときも、しっかり声をかけてチームにやらせることが大切だと思っています。キャプテンとしてガードして、今やるべきことをしっかり認識して自分が発信していければいいなと思います」

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