第75回の男子インカレは、5日間のインターバルを挟んでオープンアリーナ太田(群馬県太田市)、通称“オプアリ”へと舞台を移し、最後の戦いに入った。
まず第1試合は白鷗大が筑波大との点の取り合いを制し、3年連続決勝へと駒を進めた。
【準決勝1】スリーポイントが好調の筑波大と競り合いつつ、白鷗大が4Qで逃げ切る
ここまで大きな波乱なく勝ち上がったリーグ覇者・白鷗大は、ライバルの日本体育大を倒したあと波に乗る、筑波大との対戦となった。
前半は筑波大のスリーポイントが高確率で決まった。#34三谷(4年・SF)を幕開けに、#19間山(3年・C)、#35平田(4年・PG)、#31小川(3年・PG)と続き、1Qだけで4本が沈み、速攻も出た。ただし白鴎大も後手にはまわらず、#2脇(4年・SG)と#88佐藤(2年・PG)が積極的にペイントを攻めてバスケットカウントを獲得。#22内藤(1年・PG・仙台大附明成)のスリーポイントも決まった。27-27とハイスコアで2Qに入るが、次の10分もハイペース。白鷗大はやや立ち上がりでもたつき、その間に筑波大は#6副島(1年・C・福大大濠)のシュートや#28浅井(3年・PF)のスリーポイント、#34三谷が2本目のスリーを決め、わずかにリードする。また#19間山がアタックしてフリースローを獲得していった。白鷗大は#2脇(4年・SG)の速攻、#22内藤、#20根本(3年・SG)のスリーポイントなども決まる。前半は46-47。筑波大が1点リードで終えた。
3Q、白鷗大はインサイドで#45シソコ(4年・C)が連続得点。筑波大は#2木林(4年・PF)が踏ん張り、スリーポイントも1本決まる。しかし、白鷗大も#4佐伯(2年・SF)がスリーポイントを決め返し、逆転。#36ポーグ(3年・PF)が続き、#25モンガ(2年・C)のダンクや#8陳岡(3年・SF)のスリーポイントで6点のリードになる。しかし、筑波大も残り1分から#31小川がスリーポイントとフリースローを決め、再び1点差に。白鷗大は最後のポゼッションで#5小林(4年。PG)が機敏さを生かして中央突破。レイアップを決めて66-63の3点リードに成功して4Qに入った。
4Qの立ち上がりが勝負のカギになった。筑波大は白鴎大のディフェンスが割れず、度々のターンオーバー。一方の白鴎大は内外で決まり、一気に点差を11に開く。筑波大はリングに向かうが決めきれないシュートが続き、残り4分には15点の差が付く形になってしまった。しかし、残り3分から再び踏ん張りを見せたのは#31小川。フリースローを獲得すると、#1福田(2年・SF)のレイアップに繋げ、また。#31小川のスリーポイント、更には2本連続のダンクを決める、2分と少しの間に9点を決める圧巻のプレー。この#31小川の奮闘によって15点の差を残り1分で6点にまで縮める粘り強さを見せた。しかし、追い付くまでには時間が足りず最後は84-76。白鴎大が3年連続のインカレ決勝へと駒を進めた。
前半からかなりハイペースなスコアリングゲームになった。春からスリーポイントを打っていくスタイルへと変更した筑波大だが、白鴎大も驚くほどの立ち上がりとなった。しかし4Qの序盤で白鷗大ディフェンスを攻略できず、悔しい敗戦。白鷗大はわずかに追う展開ながら、焦らず後半にディフェンスから取り返した。
【WINNER COMMENT】「後半は原点に戻ったディフェンスで勝負した」網野友雄監督(白鷗大)
「思った以上に前半点数を取られてしまったので、後半はそこをしっかり修正しようと。ディフェンスの強度も上がったので、そこはよかったです。ただ前半も点数を取り合いながらこちらも我慢できていたので、それも今日のゲームでは大きかったと思います。
ディフェンスではスリーポイントを打たれてはダメというプランは伝えていたんですが、それ以上に筑波さんのシュートタッチも良くて、自分たちもそれにアジャストできずに少しテンポが落ちてしまいました。だから前半は完全に筑波さんのペースで試合を運ばれてしまったなという印象です。後半はスリーを相手に打たせないという流れに持っていけました。前半ではゾーンが思ったよりも効果的にできなかったので、もう一度自分たちの原点に戻って、マンツーマン一本勝負ということでやって、スリーポイントを止めにいきました。
決勝に向けては自分たちのバスケットを貫くだけです。どちらが来てもしっかり準備して頑張りたいと思います」
【INTERVIEW】「今年は皆が一つになり、目指す場所が見えている」成長したチームで2年ぶりの栄冠を掴みにいく/#2脇真大(白鷗大・4年・SG)
20分の出場だが、終わってみれば16点のチームハイ。走り、ねじ込んでいくレイアップは、脇らしいプレーだった。
プロを目指すが、大学の4年間は学生バスケに費やしてきた。リーグ終盤は「学生での試合はあと何試合も残っていない、寂しい」とも語っている。仲間と切磋琢磨し、後輩に慕われ、ともに過ごしてきた時間はかけがえのない財産でもある。そうやって作り上げてきたチームとして自信を持って決勝に望むが、力強いリーダーとしてのプレーを期待したい。
─試合を振り返って。後半を見るとディフェンスから盛り返した白鷗大らしい勝ち方でした。
「相手のスリーポイントが当たっていたというのもありますが、あれは相手の実力だと思います。そこを止め切れずに全然アジャストできなかったことは、自分たちの弱さです。でもちょっと追いかける展開になったんですが、誰も負けると思っていなかったし、自分たちは。後半にどれだけエナジーを高められるかということが大事。自分たちのバスケットをできたので良かったと思います」
─昨年のチームに比べると、今年1年で、3年生の勢いの良さが見え、チームとしての厚さが増した印象です。
「3年のセカンドユニットは本当に頼もしいし、いきいきバスケットできています。去年はどこかで弱いところがあったかなとは思いますし、今年は本当になんというか、チームが一つになって目指す場所が見えています。どれだけ自分たちが失敗してもやり続けるし、間違ったことをやっても、誰かが指摘して直させるということを全員でやってここまで来ています」
─欲しいのは優勝ですね。リーグは取りましたが、春トーナメント、夏のWUBSもいずれも惜しい最後でした。
「本当に頂点の一歩手前まで来て、最後のところでその場所に立てていないのが弱さだと思います。でもこのチームが一つになったというのを本当に、このワンシーズンを通して自分たちも思ってきているので、あとはもう自分たちを信じて戦うのみかなと思います」
─2年前に見た景色を、後輩たちに味あわせたいですね。
「自分たちが2年生の時に味わわせてもらった優勝を、今度は自分たちが後輩に味あわせてあげて、来年どんどん上にいって欲しいです。自分たちが後輩を勝たせます。でもとにかく、大学バスケは後1試合。あとは勝つのみです。ラストは楽しんで笑顔で終われるように。泣いても笑ってもあと一試合なので。最後は笑って、勝って終わります」
【INTERVIEW】「脇さんがベンチにいるときは自分が彼のように引っ張る」尊敬する先輩とともに頂点へ/#8陳岡流羽(白鷗大・3年・SF)
秋以降、白鷗大の中で大きな存在感を持つようになったのが、3年生たちだ。昨年からシュート力を買われて主力の1人としてプレーしていた#20根本に加え、#36ポーグ、そして#8陳岡がセカンドユニットとしてチームを乗せる活躍をたびたび見せ、厚みが加わった格好になっている。
スモールフォワードの陳岡は、高校時代はポイントガードゆえに、セカンドユニットになったときは、試合のコントロールはもちろん、点を取りにいくこともできるマルチさが強み。準決勝でも11点と得点面でも貢献した。そして声出しやパフォーマンスなど、チームを乗せるアクションも見逃せない。尊敬する4年生、そしてずっと後を追ってきた脇とともに最後の戦いに挑む。
─筑波大に勝利しました。この5日間の練習は何を大事にしてきましたか?
「大東文化大戦までは留学生がいて、ディフェンスの意識もインサイドやビックゲームの守り方だったりしたんですが、ただ筑波は日本人だけで、しかもスリーポイントを打てるビッグマンがいるので、そこに対して5人で守りきろうということを練習してきました。ただ、前半はあんなに入ると思わなくて、ちょっと打たれ過ぎましたね」
─一つ前の大東文化大戦のあと、脇選手に励まされつつも泣いていたのが印象的でした。何がそんなに心の琴線に触れたのでしょう?
「脇さんや尚矢さん(#5小林)、嘉数さん(#71)たち4年生が、今シーズンの中でもこれまでにないぐらい頑張っていたので、負けて引退してほしくなくて、それで勝てたあとに涙が出てきてしまいました。ああいうのに泣いちゃうんです(笑)。特に脇さんには入学したときからずっとお世話になっていて、練習でもあの人の後ろをずっとくっついて毎日やってきたというのもあります。あと1試合だなんて、いなくなってほしくないです」
─4年には卒業はしてもらわないと困りますが(笑)、そのような想いがあったんですね。8月のWUBSは楽しくてたまらなかったということですが、このインカレはどんな印象ですか?
「WUBSの時は試合にちゃんと出始めたばかりだったので、試合に出られる楽しさを感じていたんですが、今は普通に出て、活躍できるようになって、違う楽しさです。セカンドチームとして出ますが、脇さんが出ない時間帯は自分がエースだと思って、でも脇さんくらい引っ張れるようにと頑張っています。やってみると本当に大変で、エースはすごいと思います」
─脇選手を必死で追いかけているというところだと思いますが、一緒にできる試合はあと一つとなりました。
「脇さんが25分から30分ほど出場しますが、それ以外の時間帯では自分がまた別のエースとしてチームに勢いをつけられるように。勝利に導けるように頑張ります」