2日に分かれて行われた準々決勝の残り2試合は、第3シードの日本大に逆転の東海大(関東6位)と、中京大(東海1位)に勝利した第2シードの専修大が勝利。オープンハウスアリーナ太田行きを決め、勝者のパネルを受け取った。
ディフェンスから反撃した東海大が日本大に逆転勝利
日本大と東海大の試合は立ち上がりから日本大のスリーポイントが次々に決まり、一気に引き離す出だしとなった。一方で、インサイドでは東海大のディフェンスが厳しく、強みの#12コンゴロー(3年・C)で得点できない場面も続いた。東海も途中から追い上げたが、1Qは5本のスリーポイントが入った日本大が17-10とした。2Q、速攻やドライブなど、持ち味が出る日本大が10点ほどのリードを維持。東海大はシュート確率が上がらず、ファウルも続いて日本大にフリースローを与えると前半は37-30。
3Q、いまだ劣勢ながらじわじわ東海大が盛り返す。攻めるディフェンスでファウルが早めにたまっていくが、ゾーンで日本大にタフショットを打たせると、日本大のシュート確率が落ちていく。リバウンドを取った東海大は反対に速攻やスリーポイントが決まり、51-44と追い上げて4Qに入る。すると立ち上がりに#0黒川(4年・PG)、#4中川(1年・PF・東海大諏訪)のスリーポイントが決まり、#3ハーパー(3年・PG)の速攻で開始2分に逆転。日本大は攻撃が展開できずにノーゴールの時間が続いた。その後も東海大はディフェンスから速攻につなげてリードを広げていく。日本大はフリースローを得ていくが、確率が今ひとつ。粘りはするが得点が伸びず61-66でタイムアップ。東海大が強みのディフェンスからの逆転劇でベスト4進出を決めた。
東海大は前半からファウル数はかなりかさんだが、一方で日本大の攻撃は外を打たせるにとどまった。後半はゾーンが効き、インサイドで勝負させない試合巧者ぶりを見せての勝利となった。両者の今季の対戦成績は、リーグ戦で日本大の2勝0敗だったが、インカレでは昨年に引き続き東海大が勝利する結果となった。
【WINNER COMMENT】#0黒川虎徹(東海大・4年・主将・PG)
「リーグの日本大戦は2試合は今日もそうでしたが、入りのところ、あとは留学生のところで簡単にやられてしまいました。そこを止めることと、シューター陣のシュートを抑えるということをインカレまでに対策としてやってきました。前半のところでシューター陣には打たれていたんですが、デイビッド(#12コンゴロー)は完全に止められていました。そういう部分には手応えと自信があったので。後半はああいう展開になったと思います。
どういう展開になっても、自分たちは最後に勝てばいいと思っているので、粘り強くやることが大事だったし、その中でいいシュートを打ち切ろうと思うので、ポジティブな声かけをするという意識していました。自分たちがディフェンスチームというのをもう一度再確認して、残り2分で接戦になっていれば絶対勝てるという自信があるので、そういう共通意識を持って粘り強くやろうとしていました」
【INTERVIEW】「東海のエースはその日によって違う。やることを全員で徹底するだけ」#1元田大陽(東海大・4年・SG)
登録はシューティングガードだが、幅広いポジションがこなせるオールラウンダーとして、マルチなプレーを見せ、今季はベンチスタートでチームを支える。準々決勝は10点10リバウンドのダブル・ダブル。得点でも守りでも欠かせない存在として勝利に貢献した。今年の4年生は派手ではないと自他共に認めるが、その分誰もが変わらない活躍ができる。チーム一丸で頂点を取りに行く。
─逆転での見事な勝利となりました。
「リーグ戦で2敗して日大には勝っていなかったので、そこから1か月間ずっと準備してきたものが結果に繋がったかなと思っています」
─前半はスリーポイントにやられましたが、後半はそこにやらせなかったというのが大きかったと思います。
「最初、あれだけビハインドだったんですが、スリーポイントが当たっていただけだったので、後半は落ちてくるだろうと思っていました。自分たちはサイズが無いので、リバウンドとデイビッド(#12コンゴロー)のところにどれだけやられないかということが徹底できて、それが後半につながりました。それが勝利の要因だと思います。最初の点数はそんなに気にしていませんでした」
─元田選手は途中出場ですが、今年はそこでかなりいい仕事しているように思います。
「自分の役割はディフェンスとリバウンド。あと2番から4番までオールラウンドにプレーするということが、今年の自分の仕事と思うので、そこはぶらさずに。あとオフェンスは強気で、どんどんアタックをして。いい流れを持ってこられるように考えていたので、それが出せて良かったと思います」
─黒川選手(#0)がずっとしゃべってリーダーシップを発揮しているチームだと思いますが、全体では若いチームです。ご自身は4年生としてはどんな風に考えていますか?
「本当に徹(#0黒川)がすごくリーダーシップを練習から取ってくれていて、残りの4年はもっと喋れなくちゃいけないなという状況がいつもあります。自分たちが喋れていない分、徹の負担がかかっているところもあると思います。そこを支えられるようにあと2試合、頑張っていきたいと思っています」
─今日黒川選手はそこまで数字を出す感じではありませんでした。ただ、その代わりに元田選手がコートに入ってきた時のプレーで盛り上げたのではないでしょうか?
「東海は本当に誰かがエースというよりは、その日によって変わっていくと思うので、やるべきことはディフェンスとリバウンドとルーズボールです。そこは全員で徹底してやろうというだけです」
─元田選手は過去3年間そこまでプレイタイムが伸びていたわけではありません。自分としてはどんな風に考えて何を大事にしていましたか?
「出られていない実感もありましたが、オフの時にワークアウトをしたり、絶対に腐らずにやり続ける、そう考えてやっていたと思います。4年目の今は2番から4番やっていて、例えば、留学生に負けない体の強さだったり、アウトサイドでスリーを決めたり、本当に何でもできるプレイヤーになりたいと思っていて。残りの試合でももっともっと成長できると思うので、そこはやっていきたいと思います」
─昨年のチャンピオンではありますが。どんな感覚ですか?
「去年は確かに優勝したんですが、自分たちの代では何も成し遂げていないですし、今年は本当にチャレンジャーという意識です。去年よりもサイズが低いので、留学生がいない中で勝つことに意味があることなので、そこを目指して優勝したいと思っています。残りの試合を一つずつ頑張りたいと思います」
専修大は終始リードして粘る中京大を下す
第2シードの専修大は、福岡経済大を2点差で破ってベスト8進出した中京大との対戦になった。1Qはたがいに様子を見合い、14-14と得点は伸びず。2Qになると専修大がインサイドを軸に得点して流れが出てくる一方で、中京大は15点から先の得点がストップ。残り1分半でようやくこのQ初の外のシュートが決まるという形になった。この2Qで大差がつき、前半は20-36と専修大リード。
後半、中京大は#28渡邊(3年・SF)のスリーポイント、#13中野(3年・SG)の速攻などで粘り、専修大が攻めあぐねる時間帯も。専修大は終盤に#15佐藤(3年・F)のバスケットカウントが連続するが、テクニカルなどもあり、やや締まらない。このQは中京大が19得点で追い上げ、41-48。
4Qはさらに中京大が追いすがる。#15高村(3年・PG)、#13中野、#28渡邊の主力たちが次々と得点を重ね、残り4分、#12高村のシュートで2点差にまで迫る。専修大は単発のシュートや24秒など、テンポのよくない時間帯が続いた。しかし2点差に追い上げられたあとは、続けて速攻が出るとここで再び中京大を引き離し、64-74と10点差にして勝利を収めた。
【WINNER COMMENT】「崩れない東海大に対し、こちらも40分やりきりたい」佐々木優一監督(専修大)
「2点差まで詰められたんですが、どうしても慎重になりすぎて、結果的にターンーオーバーという形になり、そこで中京大が走り始めて点差を縮められました。苦しかったんですが。ケニー(#16淺野)やアンソニー(#8介川)、ジョべ(#97)が苦しいところで1本決めてくれというところでなんとかつなぎ止められました。選手たちにはこれじゃあ次の準決勝には勝てないと言いましたが、この1週間で修正して自分たちのいいところを40分出せるようにやっていかないといけないなと思います。
東海は今日すごくいい形で勝って、うちは逆にちょっと苦しい状況でした。でもだからこそ逆にこの5日間というのは、変に調子に乗らず、良い形で過ごせるかなとは思います。うちはリーグ戦の頭から怪我で誰かが抜けて誰かが入ってという状況で、すべてが揃うことがなかなかありませんでした。今はようやくほぼ揃った状況です。いいときは自分たちの良さが噛み合った感じが出てくるんですが、崩れたときにどれだけ立て直せるかが鍵です。相手の東海は絶対崩れません。こちらも40分やりきる、そこがすべてだと思います。自分たちのバスケット貫けるようになっていきたいと思います」
【WINNER COMMENT】準決勝に向け、「40分間我慢しきることが大事」#11赤嶺有奎(専修大・4年・主将・PG)
「去年の先輩がここ(準々決勝)で負けました。昨年の先輩たちは最後に自分たちより上の順位を目指して、優勝を目指して欲しいと声をかけてくれていたので、それを意識しながらチームで頑張ろうとしていて、まずそこを突破できたというのは嬉しいです。
40分間チームでディフェンスリバウンドをやり続けようと話したんですが、途中は自分のプレーがうまくいかないということで、個々のエゴが出てしまって。そういう部分で少しの穴からほころびが広がっていってしまって、結果的に一時的に競られる展開になりました。来週のゲームではそういうことをしてはいけないので、キャプテンとしてしっかり声をかけてチームを引っ張っていきたいと思います。
1週間の時間がありますが、そんなに深くは考えていなくて。必ず勝つことが大事になってくるので、目の前の試合に臨んでいくというだけです。今日のような試合をしていたら、絶対に東海大には勝てないと思います。だから40分間ディフェンスリバウンド、そしてブレイクを出すというのをチームでやり続けなくてはいけないので、我慢して我慢してやるだけです。今日の東海大はすごく我慢強かったし、今日の自分たちの試合をしていると絶対勝てません。開さん(現・B1横浜・キング開)のときに東海大にはこのベスト4で負けています。その借りを返したいので、しっかりやり返したいなと思います」
【INTERVIEW】「チームの仲間に助けられた4年間、来年こそは日本一を」#15濱田真魂(中京大・4年・主将・PF)
ディフェンスやリバウンドで身体を張り、チームの土台を支える泥臭いプレーで、今年は主将も努めた。日本一を目指した戦いは昨年と同じくベスト8。「もうひと頑張りふた頑張りして、3年生たちを頑張らせることができるような声かけやプレーを最初からすることができていたら…」と、悔しさで最後は涙が溢れた。
悲願のベスト8突破は叶わなかったが、ただ、昨年、今年とチームの主力はほぼ変わらず、チームの底上げはできた感覚はあるはず。来季もほとんどのメンバーが残る。再びのチャレンジを待ちたい。
─今年は稲葉さんがコーチとして試合では指揮をとっておられました。松藤さんは代表等、他のお仕事でいらっしゃらない時期もありましたし、そういう状況でチームを作っていくというのは、どんなふうに考えてやっていましたか?
「松藤先生がいない中で、チームが締まらない時とかもあったんですが、稲葉コーチが声かけをしてくれる中で、ゲームに出ているメンバーはもう去年からほとんど変わっていません。だからチーム全体の空気が緩んでしまっても、やるべき時はやる、というのを自分が声をかけなくても後輩たちがしっかりやってくれていたんじゃないかなと思います。もちろん緩んだ時なんかもありましたが、稲葉コーチもしっかり指導してくださいますし、自分たちはそこを信じてやるだけだったのでやってこられたと思います」
─そんな状況での4年目でした。この4年間、個人として成長できたと感じる部分は?
「高校の時と比べて、大学バスケになるとサイズアップをして、自分の能力ではうまくいかないバスケットが多くなってきました。そこでどこを頑張るか?っていうことになるんですが、ルーズボールやリバウンドというところが自分の持ち味だと思うし、そこは1年のときから松藤先生に言われていたので、チームを信じてやっていくだけでした」
─主力では4年は1名になりますね。大変でしたか?
「チームの仲間を信じてやるだけでした。4年生は今年、メンバーは自分しかいなかったですが、後輩が得点を取ってくれたり、ゲームを引っ張っていってくれていていました。でもゲームに出る4年は1人ですが、ベンチに帰ればほかの4人がしっかり声をかけてくれていました。今日メンバーには入ってない4年生が沢山いますが、チームの仲間みんなに助けられたな、という4年間だったと思います」
─近年はベスト8の常連になってきています。チームとしての実力が上がってきたというのを感じますか?
「去年新人インカレで3位になって、そこから僕の中ではチーム全体の意識が、バスケットボールに対して上がっていったんじゃないかなというのはあります。その中で去年はインカレのベスト8で負わりました。そのとき、松藤さんが『プロを目指している奴とを目指していない奴の差は、このベスト8に勝てるか勝てないかだ』と言われたんです。だから今年はチーム全体の取り組みも目標も日本一に変わったし、みんながバスケットボールに対する熱量も変化したんじゃないかなと思います。その中で勝てなかったのは残念です。でも今の3年生達は1年生の時から経験を積んでいるので、来年こそは日本一を目指して頑張って欲しいと思います」