【2022トーナメント】“我慢”が実った専修大が決勝進出。2004年以来の優勝を目指すため、必要なのは「あと40分やり通すこと」(2022.5.7)

2022関東トーナメント

結果以上に求めるのは、40分間やるべきことをやり通せるかどうか

まさに我慢の40分間だった。

準決勝の日本大対専修大は、得点差こそ大きくないが日本大がリードで入り、追う専修大にはストレスが溜まった。後半に逆転してからもその差はわずか。シーソーゲームとなり、いつやられてもおかしくない状況を40分耐え抜いて、自分たちに勝利を引き寄せた。

コート上の選手から「我慢」「我慢」と大きな声が飛び続けた。それは、今年の専修大というチームを表現しているような、象徴的な姿だった。佐々木監督が言う。

「自分たちのバスケットを40分間やり通そう、結果よりも40分やり通せるかどうかというところに、今はすごくフォーカスしています。うまくいかないところがあっても我慢すること、そしてコーチ陣がスカウティングして伝えてくれた情報を元に、切らさずに自分たちが40分間やり通すこと、それをやろうとしていて、できました」

主将の#14鈴木(4年・PG)も同じ認識だ。

「我慢することと、ディフェンス。それをチーム全員で表現できました。だからこういう結果になったと思います」

個性が強いのは変わらない。主将の#14鈴木も「まとめにくい」と言うが、コート上では一つになって戦っている。

“チーム力”こそ今年のカラー、新たな姿で頂点に挑む

専修大といえば、個人能力が高く、その分ややムラっ気が試合に出てしまう個性の強さがカラーであり、また魅力でもある。しかし今年のチームは一味違うという。長らく試合に出続けてきた選手たちが一気に卒業し、これまであまり試合経験のなかったメンバーがコートに立っている。それだけに「昨年は個で打開できた部分がありましたが、今年はそこに頼ることは難しい。だからどれだけチームで戦い、ディフェンスで我慢できるか」(佐々木監督)が大事なチームだ。

鈴木も言う。

「去年と比べて試合経験が少ないというのもあったので、オフェンスに目を向けないで、ディフェンスからというのをチームで意識できていました。後半の入りは負けていたし、ディフェンスからと意識して、リバウンドを1本で取り切れたので大きかったと思います」

もちろん、それを今大会の最初から徹底できていたわけではない。緒戦から大差がつく試合が多く、外からは見えにくかったが、2戦目まではチームはバラバラで、理想とは遠かったようだ。そこに楔を打ち込んだのが、4年生の#0ケイタ(4年・C)だ。

「ケイタが『チームになっていない、チームにならなきゃいけない』と言って、選手自身でミーティングをして、自分たちで何をしなければいけないのかを確認してくれました。そこから同じ方向を向き、途中から少しずつ一つになってきたなという感じです。ケイタは4年生になってすごくリーダーシップを発揮して、やらなければいけないことをやり、練習でも声を出しています。ほかの4年生は比較的おとなしいんですが、ケイタが本当に大事な発言をしてくれるようになっていて、それが彼のプレーの自信にもなっています」(佐々木監督)

もちろん、今年の選手たちの個々の能力が劣るという訳ではない。選手層が厚い分、なかなか出番を得られていなかっただけだといえる。ただ、スタイルとしては個というよりもチーム力重視になるのが今年だ。

「チームでシェアをしながら、去年よりもしっかりパスが回っていて、いろんなところで点が取れたり、それぞれの個性を活かしながらチームプレーができるプレイヤーが増えていいます。去年とはまた違う、うちのスタイルが出来上がってきているなと思います」(佐々木監督)

「今年は誰が出ても強度が変わらないというのが、うちのチームの強さでもあります。去年はみんな能力がすごかったんですが、今年はチーム力というのが勝つためには必要です。個人では打開できないところを、チームで補っていくのが今年のいいところ。自分はそれを引き出せるように頑張っています」(鈴木)

監督、主将からも共通認識ができていることが伺える今年の専修大。決勝だけではなく、この1年を通してそれを体現していくことができれば、自ずと頂点に近づく。さしあたっては目の前の決勝だが、佐々木監督のこのコメントに尽きるだろう。

「本当にチームで我慢を40分間やり通し、自分たちのバスケットをするというところだけだと思います。今日は40分やり通すことができました。そしてあともう40分、やり通したいと思います」

チームに発信してくれたという#0ケイタ(右)と浅野(左)。
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