ベスト4からの登場は逆転勝利、大会の難しさを感じつつ乗り越える
第2シードでベスト4決定戦から登場した筑波大。対戦相手はすでに数試合をこなした状態であり、そういうチームを相手に迎えるのは難しい立場で大会に入った。案の定、試合慣れしていた中央大に1Qは最大21-2まで差を広げられてしまうスタート。苦しい中でも盛り返して初戦を突破した。
難しさと、反省のあった初戦を#41大澤は振り返る。
「中央さんは既に何試合もやってきて、シュートタッチだったり、チームとしての完成度というのが自分たちよりも何個かレベルが上でした。だからああいう入りになってしまったと思います。でも2Qでそれが挽回できました。それはチームとしてすごく良かったと思います。でも再び3Qで悪い入りをしてしまって差を広げられてしまって…。今日の準決勝ではそういうことがないようにと意識しました。おかげで今日の入りはディフェンスから走るという、自分たちのバスケットをしっかり徹底してやることができました。昨日の反省を今日に活かせたのかなと思います」
新人インカレはプレ大会の昨年、グループステージで中京大に破れ、トーナメントに進めなかった苦い記憶もある。その反省も今年は胸に刻んでいる。相手が関東だろうが、それ以外だろうが、集中を大事に、油断はしない、という意識だ。
「昨年はグループステージで地方のチームと2試合やったんですが、その時に入りが悪いというのは、2試合とも同じ反省だったんです。相手が関東のチームじゃなくて、自分たちがふわっとした入りになってしまって…。特に、グループステージ敗退のきっかけになった中京大学さん(昨年3位)に対しても、なんとなく勝てるだろうみたいなところがありました。そんな状態で相手もいろいろな策を仕掛けてきて、自分たちはそれに対応できずに後手後手になって負けてしまいました。だから、今日の準決勝の浜松学院大は関東以外のチームでしたが、そういうことがないようにと、入りから全員で気持ちを入れてやれたのは良い点です」
初戦の中央大戦で難しい立ち位置である部分を乗り越え、準決勝の浜松学院大戦では、どこが相手であろうが髙い意識で自分たちのバスケットを遂行する、そんな対応力を見せたが、関東の新人戦での経験も小さくはないようだ。
「関東の新人戦は、一般生たちの出場機会が増えたという面ですごくいい経験だったと思います。新人チームになると一般生も多くメンバーに入りますが、推薦組と噛み合わないところも増えます。でも今大会は関東の新人戦を経験した一般組の選手が多く、練習中からバチバチやり合う環境ができていました。そういうところはチーム全体の底上げとしていいレベルアップになったし、チームにもいい刺激になりました。新人戦を2度経験できるからこその良さです」
メンタルやディフェンス、数字には表れない部分での貢献を大事に
関東に続いて、新人インカレでも決勝に挑む。相手はインサイドで優位性を持つ専修大に決まった。
「関東の決勝の反省は、大東文化大のビッグマンにリバウンドを取られてしまった事です。自分たちがいいディフェンスをしてもつながれて、相手にうまい1対1をやられてしまいました。それがあったので、練習中からコーチ陣もそうですし、自分たちもリバウンドというのは徹底してやってきてはいます。ただ、今大会はまだ強力な留学生とやっていないので、自分たちの課題がまだよく見えてないのが正直なところ。決勝の対戦相手はリバウンドが強力になってくると思うので、そこで絶対負けないようにやっていきたいです」
専修大の準決勝は、筑波大とあまりサイズの変わらない日本大相手に、リバウンドで20本近く差をつけている。筑波大としてもまさにその部分は大きなポイントになるだろう。そして、大澤は筑波大のキャプテンとして、チームをもり立てなければならない。
「筑波は各世代のエースや、アンダーカテゴリーに選ばれている選手がたくさんいるチームなので、タレント性はすごくあると思います。個が強いチームなので、そういうところでギクシャクするところは練習中からよくあるんです。だから自分がやるべきことはまずチームをまとめること。何かあればすぐハドルを組んだり、声をかけたりして、メンタル的なケアをすることは、自分が一番気にかけていることですね。副島(#6)だったり星川(#7)だったりはすぐテンションが上がってしまいがちなんですが、そういうところで自分が心の支えになってあげたいです。彼らの能力は凄いので、自分のはたらきで落ち着いてくれて彼らが活躍できれば、おのずとチームもいい方向になっていくはずです。影の部分、じゃないですけど、自分はそういうところを頑張っていきます」
大澤は高校界の雄・福大大濠出身だ。ここもまた筑波同様スターが揃うチームだが、スターが多い環境は「大濠と似ていて、どうふるまうべきか、高校での経験が役立っている」という。
大澤が苦しいときに声を出し、チームメイトを鼓舞している様子は実際コート上でもよく見かける。メンタルを支え、士気を高める存在はチームには欠かせない。
そして、一人のプレイヤーとしても、優勝するには活躍は必要だろう。大学入学以来、レベルアップにも取り組んできた。
「去年はキャッチアップのシュートだけの選手だったので、今年は自分からハンドラー的な役割をこなしたり、ボールを持ってズレを生かして、自分でメイクできるような選手になろうと努力しているところです。まだまだのところもありますが」
取り組んできた攻撃面にも期待はかかる。しかし実際のところプレーで一番大事だと考え心がけるのは、守備面だ。
「昨年よりもハードなディフェンスからチームを鼓舞していくのが一番」
そんな意識でいる。
今、大学界の上位チームはどこも実力伯仲し、どこにもチャンスがある時代だ。そこで頂点を掴み取るには、しぶとさや粘り強さはなくてはならない。筑波大の新人チームは、激戦の関東新人戦を勝ち抜く中でそうした強さを、少なからず自分たちのものにしてきたはず。そして今度は全国の新人日本一に挑む。大澤を筆頭に、タフに戦い抜いてさらに成長を遂げてもらいたい。