【2023新人インカレ/INTERVIEW】「すごくいいチームになった」試合を重ねて出来上がってきた理想の形/#2高橋裕心(専修大・2年・PG)

2023新人インカレ

苦戦を経て意識が切り替わり、高まったチーム力

新人戦ではキャプテンを務める。

昨年は4年生に強力なガードがいたため、全体チームでの出番はなかったが、春は5月のトーナメントでもキラリと光るプレーを見せた。自分でいう持ち味は、「コントロールとプッシュするところを使い分けていて、焦らず冷静でいることを意識している部分」という。新人インカレではここで1本欲しいというとき、高橋がレイアップやスリーポイントを決めたが、まさにいうとおり、といった印象がある。

「個人的には今年から試合にようやく出させてもらっていて、今の自分には大学のキャリアが全然ない状態です。だから自分たちがメインでやれて、かつ大舞台の新人の大会でポイントガードを任せてもらっているということは、すごく自分にとって自信につながります。ここで活躍して3・4年生が揃うチームになっても、同じように活躍できるようにするのが目標です。ここをバネにして、いい形でリーグ戦に繋げていきたいと思ってやっています」

専修大はグループステージでは圧倒的だったが、トーナメントは難しいブロックに入った。トーナメント初戦では全体チームで西日本選手権を優勝し、そこに貢献したメンバーも入っている日本経済大、準々決勝では関東の新人王者・大東文化大、そして準決勝では関東新人戦では惜敗している日本大を相手にしてきた。

いずれも競り合う部分があったが、それがチームを成長させたともいえる。転機になったのは日本経済大戦。自分たちの甘さで相手に迫られた反省から、意識を変えて大東文化大に挑んだ。結果は、立ち上がりからリードを奪い、ディフェンス巧者の大東文化大をロースコアに抑えて勝利。大東文化大にとっては初戦の不利さはあったが、専修大はベンチメンバーまで含めて活躍し、佐々木監督に「ようやく目指していたバスケができました」と言わせる試合になった。

大東文化大戦は粘り強さが光った。

「日本経済大学さんとの試合でゆるく入ってしまって、ディフェンスもソフトでした。翌日の大東文化大さんは関東の王者だし、日本経済大戦のような試合をしていては絶対に勝てないということを、ミーティングで話しました。ディフェンスからというのをみんなが意識できたことで勝ちにつながって、今日の日本大も“同じようにやれば勝てる”そういう意識がみんなに浸透してきたのかなと思います」

よくいわれるが、専修大は「個」が強いチーム。しかし新人チームは若さゆえに、それぞれがやりたいようにやろうとする傾向はどんなチームでも出てくるものだ。そんな中でも、苦しい戦いの中で勝利を重ねることで、「チーム」としてどうあるべきかがなんとなく形になってきているのがうかがえる。

「うちは一人ひとりすごくポテンシャルが高くて、自我が強い選手が多いです。よく喧嘩もします。『ここでバスが欲しい』とか。みんなが欲しがってもボールは1個しかないんですけど(笑)。でも、そんな面々が試合を経ていくうちに、チームプレーに徹しようという風になってきました。特に、昨日の大東文化大戦からはそれを徹底して、チームのために行動してくれています」

メンバーがいなかったからこそ、足りないものをイメージして準備ができた

また、もう一つ新人たちが“チーム”となれるきっかけになったのが、ルーキーの#97ジョベと#8介川だ。

“いるけれどいない”

チームにとっての2人は、そんな存在だった。

2人ともトーナメントでは少し試合に出場し、ポテンシャルの高さを見せた。しかしジョベは6月の関東新人戦の直前、腰を痛めて大会を欠場した。また、介川はアンダー世代の代表として春からチームを不在がちにしている。他に怪我人などもいて、春から「全員が揃ったことが1回もない」(佐々木監督)という状態は長かった。

「新人インカレの前に練習試合をしましたが、2人は不在でした。ただ、だからこそずっとみんながイメージしながら、理想の形を固めてきていたというのはあります。彼らがいないからこそ、ここが欠けているよね、という足りないものがわかります。だから彼らが帰ってきたときにはそこを埋めてもらえるといい形になるよね、と常にイメージしてプレーしていました。それを今、具体的に形にできています」

不在の#97ジョベと#8介川を常にイメージできたことで、チームに不足しているものを認識できた。

幸か不幸か、専修大はグループステージからの登場で、初戦から最終日まで最も過酷な7連戦を戦う。体力的には厳しく、チームの面々は身体のあちこちを痛めつつ、試合に出続けている。しかし、この試合数があったからこそ、ようやく揃ったメンバーで息を合わせられるようになってきた。もちろん完璧ではなく、本調子ではないという介川もキーマンであり、頑張ってくれていると、高橋は感謝する。

「新人チームのメンバーは、この大会でようやく全員揃いました。ここまでの6試合は大変だったけど、試合数をできたことで、いい形で合ってきました。それは良かったことです」

決勝を前に、今は胸を張って言える。

「今、すごくいいチームになってきている」

チームとして一つになりつつある新人インカレ。それは今大会だけではなく、この先のシーズン、専修大全体にとっても大きな財産となっていくことだろう。

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