激しいディフェンスから東海大が流れを掴む
第3試合は専修大と東海大が対戦した。昨インカレでは盛實(現Bリーグ渋谷)の劇的なシュートで専修大がものにしたカードだ。
専修大は#23キング(3年・SG)、#88重富周希(4年・PG)が欠場。試合は1Qから追いかける形となった。東海大は#11大倉(3年・PG)、#86八村(3年・C)が得点を牽引し、専修大はルーキーの#13スティーブ(1年・C・福岡第一)の存在感が光る。2Q、専修大はゾーンも使い、オフェンスでは#28野﨑(3年・G)の3Pが高確率で決まり、追い上げる。一方の東海大は#60坂本(3年・PG)が持ち前の粘り強さから攻守で好プレーを見せるが、#28野﨑の3Pが効いた専修大が33-35と2点差に追い上げて前半を終えた。
後半早々、#12西野(4年・F)のシュートで専修大が追いつくと試合は接戦に。#46寺澤(3年・F)が踏ん張って得点を重ね、逆転に成功する。東海大はインサイドがファウルトラブルに陥るが#60坂本の好調が続いて得点を重ね、最後は#23佐土原(3年・PF)の3Pが決まると51-59とリードを広げる形で3Qが終了。このあとの4Qは勢いづいた東海大が一気に差を広げ、70-88で勝利してベスト4へと名乗りを上げた。
東海大は初戦の79点を上回る、90点近いスコアを上げた。「流れを持っていかれた部分を取り戻すことができた。能力の高い専修大とインカレ前にいい試合ができてよかった」と陸川監督。ディフェンスも良く、ガードでは#60坂本が、インサイドではファウルもあったが#86八村を中心に相手チームの#13スティーブら、ビッグマンを抑えるシーンも目立った。専修大は#12西野19点、#28野﨑17得点、#46寺澤が14得点と粘りを見せたが、最終Qで引き離された。
「セカンドチームの方が厄介だと思わせたい」◆#60坂本聖芽(東海大・3年・PG)
セカンドメンバーとして出場し、2戦目となったこの試合では約15分の出場で14点、アシスト5。初戦はリバウンドも7を記録した。専修大戦では特にディフェンス面に光るものを見せ、スティールからの速攻を決めるなど、チームに勢いをもたらす活躍を見せ、#11大倉からも「セカンドメンバーがつらい時間帯にハッスルしてくれた」とのコメントがあった。本人も「1回のディフェンスからのスティールであったり、オフェンスチャージングなど勢いあるプレーはチームに勢いが出るので、そういうプレーができて本当に良かったと思う」と、満足できるプレーだったようだ。
昨年は主力の怪我が相次ぎ、リーグ前半で出番を獲得すると、気持ちの見えるプレーで貢献した。今大会でもセカンドチームの中心ともいえる存在感を発揮。ルーキーの河村とも同時に登場する時間帯が多く、坂本いわく「プレー的にも合う」という2人のコンビネーションは一つの見どころといえる。また、本人がセカンドとしての役割の重大さを意識しているだけではなく、セカンドメンバーで相手を驚かせてやろうと虎視眈々と狙っている様子が伺えるのが頼もしい。
「セカンドチームはディフェンス・オフェンスともにスタメン同様の強度を保つのが役割。セカンドチームの方が厄介だなと思わせるぐらいの勢いをもたらす役目があると思う。僕たちが出るときは強度を下げないよう、心構えを持ってやっている」
大学に入学してからはポイントガードへとポジションアップして研鑽を積んできた。この春は思うように練習ができない中、「自粛期間はやれることが限られていたので、ドリブルの基礎やトレーニングなどに取り組んだ。普段とは違う環境だったのでやれることを考え、バスケ・トレーニング・メンタル面で鍛えることを意識してやってきた」という。そうした試合以外での地道な努力がこの大会では実を結んでいるようにも見える。
この先ガードとしてさらなるレベルアップを目指し、試合を通して状況判断などを磨いていきたいという。まずは優勝を目指してミッションを遂行することが目標になるだろうが、昨年よりも一回り成長したプレーぶりがこの先楽しみだ。
「素早くアジャストすることが大事」どんな状況にも即座に対応することを目指していく◆#11大倉颯太(東海大・3年・PG)
初戦の拓殖大戦は4得点10アシスト、2戦目の専修大戦は17点と、頼もしい数字を出した。司令塔として1年時より経験を積んできたが、上級生となった今年はさらにチームにとって欠かせない存在となっている。Bリーグも経験し、幅をさらに広げたプレーを見せてもらいたいところだ。
今年は例年にないシーズンとなり、試合をすべてこなしても公式戦は10試合程度となる。その中でどのようなものを見せたいのかを聞いてみた。
「僕が大事にしているのは、プレーする上でチームのスタイルであったり、ヘッドコーチのやりたいバスケットを遂行すること。バスケットを続けていく上で高校から大学、プロという道のりがある。自分はBリーグを経験して、言われたことにいかに早く対応できるかどうかが大事だと学んだ」
2019年の12月からBリーグの千葉ジェッツでプレーしたが、そこで得たものも多いのだろう。
「試合の中でアジャストしなければならない時間帯に、ヘッドコーチの考えを聞いて対応することは、上のカテゴリに上がるにつれて大事になってくる。今年の大学界は試合数は少ないけれど、そこを意識していきたい。相手にアジャストすることを、練習の時間もあるのでそれも含めていかにできるか。試合だけではなく日々の練習からがすごく大事になる。そこを気を抜かずにやることを見せたい」
専修大戦でも相手に外のシュートを打たれて追い上げられた際、即座にチームで問題点を把握して修正し、押さえるというアジャストを見せたが、まさにそういったことの繰り返しが大事になってくる。残りの試合でも相手にどう反応し、どんな対応を見せるのかといった部分に注目したい。
練習期間が短い中でも思っていた以上にできた部分がある」◆佐々木優一監督(専修大)
◆試合を振り返って
「東海さんは昨日ワンゲームやっていて、うちは初の公式戦で入りの部分は難しくなるだろうと話はしていた。入りはうちのチームの課題でもあるので、昨日の練習が終わった段階から明日の入りにチーム全員が意識していこうという形で伝えていた。そして東海はディフェンスにアイデンティティを持っているので、インテンシティの高いものを仕掛けて展開するのは予想できていて、それに対して受け身にならないようアタックをしていくようにと。最初こそ固さは見えたけれど徐々に自分たちの持ち味が出てきていたと思う。フリースローが41本のアテンプトであったということは、アタックを遂行した証拠だと思う。決めきれなかったことは課題だが、練習期間が短かった状況でも、思っていた以上に内容としては求めていたバスケットができていたのかなと感じる」
◆練習期間について
「一度練習がストップした時期もあり、9月からようやく通常の練習に戻って約1ヶ月ほどの練習期間になる」
◆怪我人について
「選手との相談しながらになる。インカレも控えているのであまり無理はさせないよう、私とトレーナーと本人とでポイントを絞りながら考えている。状況が良ければいつでも戻すことはできるので、その際は積極的に起用したい」
◆次の試合に向けて
「ディフェンスの部分では次の青山学院大戦に向けては、相手の4番、5番がスモールではあるが、アウトサイドの上手な選手が多いので、ピックの対応の精度を上げることが必要。課題として一つ一つのフリースローの精度、ターンオーバーの部分について、量というより質の部分で細かいところの課題をしっかり修正していきたい」