全国規模の事業増加に寄るバスケットボールの普及と発展、また新人世代の強化を目的にし、大学生の新しい全国大会として開催された、全日本大学バスケットボール新人戦。プレ大会という位置づけでさまざまな初のチャレンジが見られた中、決勝では大東文化大が日本体育大を下し、3月の関東新人戦に続いて今度は全国の王者となった。また、関東連盟以外からは中京大が3位に食い込んだ。
【決勝】固いディフェンスと高確率のスリーポイントで大東文化大が新人日本一を戴冠
関東の3月の新人王者と6月の新人王者がぶつかりあった決勝は、1Qから大東文化大がリードする展開となった。
大東文化大は1Qからスリーポイントが気持ちよく入った。この大会好調の#47品田(2年・PG)が2本、#3塚本(1年・PG・北陸学院)が3本のスリーポイントを沈め、1Qで23-10とリード。インサイドでも#39アブドゥレイ(1年・C・中部第一)が日本体育大#35ムトンボ(2年・C)がブロックするなど、迫力のある見せ場を作った。2Q、今度は#35ムトンボが#21富山(2年・PF)をブロック。日本体育大は#24大森(2年・SF)の速攻、スリーポイントなどが決まってやや差を詰め、残り7秒には#41石川(1年・SG・小林)のアシストから#26西部(1年・SF・東山)のスリーポイントがようやく決まり、33-25で前半を終えた。
3Q、日本体育大は#35ムトンボがダンクを叩きつけ、#21月岡(1年・PG・昌平)の絶妙のフローターも決まる。しかし大東文化大は#3塚本のジャンパーや#25山内(2年・SG)のスリーポイント、#21富山の速攻など攻撃を畳み掛け、次第に日本体育大を引き離していく。結局大きく差は縮まらず、50-40と10点差で4Qに入った。
4Q立ち上がり、#26西部のドライブからのバスケットカウントが決まり7点差となるが、その先は数分間互いに決まらない時間となる。それを破ったのが#3塚本のスリーポイント。ここで点差を再び10にした大東文化大に対し、日本体育大は#35ムトンボが3連続でゴール下の得点をあげる。しかし大東文化大はスリーポイントが落ちない。#47品田、#25山内と続き、日本体育大の追い上げを断ち切る。そして終盤はこの日スリーポイントで試合を引っ張った#47品田と#3塚本が試合を締めくくるよう、お互い5本目となるスリーポイントを立て続けに沈め、70-54。大東文化大が初代の新人日本一に輝いた。
大東文化大は14本のスリーポイントで圧倒。#47品田と#3塚本が5本、#25山内が4本と、相手に流れが行きそうなときにスリーポイントが決まって食い止めた。リバウンドでも#39アブドゥレイのみならず、#9田中、#21富山、#25山内らもリバウンドに絡み、相手のポイントゲッターである#26西部、#41石川を守って押さえ、仕事をさせなかった。6月の関東新人戦ではやや勢いを出しきれないまま3位に終わったが、この1ヶ月でディフェンスの強度が増し、今度は新人として“日本一”の称号を手にした。
日本体育大は持ち味のオフェンスを抑え込まれ、6月のような爆発力を出すことが叶わず。しかし6月よりも試合に出てくるメンバーが増え、#24大森が今大会はいいつなぎ役として貢献。試合数の増える秋リーグを戦うには、使えるメンバーは多いほどいいだけに、収穫の見えた大会だったといえる。
【3位決定戦】4Qに日本大を逆転し、中京大が3位に食い込む
日本大と中京大との対戦は前半の競り合いから、後半に中京大が抜け出した。
日本大は準決勝で負傷した#3米須(2年・PG)、#51一戸(2年・PG)がともに欠場。エースともいうべき2名が抜けた中での戦いとなった。日本大は#99下地(1年・PG・北陸)がゲームをコントロールし、立ち上がりは#30丸山(2年・SF)のシュートも入って悪くない立ち上がり。中京大は序盤にミスが続くシーンもあったが、#13中野(2年・SG)が速攻に走るなど、終盤流れを持ってくると12-17とリードする。2Qは、互いに留学生を休ませる時間帯も作りつつ、ゲームを展開した。#7新井(1年・SG・沼津中央)のシュートで追い上げる日本大は、#86名城(2年・SG)がディフェンスで奮闘して味方の攻撃につなげると、残り4分半で逆転に成功。しかしここから中京大は#12高村(2年・SG)の2本のスリーが決まり、30-35と5点リードで前半を終了。
3Q立ち上がり、日本大は#12コンゴロー(2年・C)、#10新沼(2年・PF)がゴール下で踏ん張る。#30丸山のスリーポイント、#13泉(1年・SG・福大大濠)の速攻など外角や足も出て、このQで一気に58-49と9点のリードに成功して4Qに入った。
しかし中京大もここで切れない。開始早々#12高村のスリーが決まると、#36カミソコ(2年・C)も#12コンゴローをかいくぐって得点。さらに#12高村、#5高橋(2年・PG)のスリーポイントが決まると、開始4分で逆転。速攻も続いて7点のリードに成功する。日本大は守られてうまくオフェンスが展開できない時間帯が続き、盛り返すきっかけがつかめない。諦めずに食い下がるが、中京大は得られたリードを守りきり、78-71で3位を獲得した。
中京大は準決勝と同じく、4Qに追い上げる展開だった。得点源の3本柱、#5高橋、#13中野、#36カミソコに加え、この日は大会を通してアウトサイドの確率が上がりきっていなかった#12高村が爆発。4本のスリーポイントを含む20点が勝利の追い風になった。
日本大はメインガードの2人が抜けたことで、1年生の下地がスタメン出場。その後も多彩な選手を入れ替えながら試合を進めたが、ゲームコントロールで足が止まってしまう場面が多く、そこを中京大に狙われた。長期離脱の怪我人が出たことは惜しまれるが、1ヶ月後に迫るリーグ戦ではこの新人戦メンバーも欠かせない存在となっていく。奮起が期待される。