各地区の代表が新人日本一を争う“新人インカレ”プレ大会
全日本大学バスケットボール連盟主催による新設の全国大会、全日本大学バスケットボール新人戦(プレ大会)、通称“新人インカレ”が、女子は7/4、男子は7/5に開幕した。
今回はプレ大会という位置づけになり、北海道・東北・関東・北信越・関西・中国・四国・九州の、9つの地区連盟から男子16、女子16大学が参加。4グループに分かれてリーグ戦(勝ち点方式)を行ったのち、各ブロックの1位となった4チームが、トーナメント形式で準決勝・決勝を戦い、新人チームとしての日本一を争う。
日本の大学バスケットボールにおける全国大会は年に一度のインカレのみで、トーナメント形式の一発勝負だ。しかしこの大会はリーグ戦を行ったのちにトーナメントという方式のレギュレーションを採用。全国のチームとの対戦を、下級生の段階で複数経験することができる点が新しい。また、関東地区は1・2年生のチームで参加しているが、その他の地区は3年までメンバー登録している。今回はプレ大会ということなので、この先は最適な形を模索していくことになりそうだ。しかし長く中止や延期が続いた大学バスケットボール界において、また試合の絶対数が少ない地区連盟のチームにとっては、多くの公式戦を経験できる新しい大会が生まれたことは喜ばしい。男子は関東に強豪が集まっているが、全国の選手が下級生の頃から他地区との対戦経験を詰むことで、秋の各地区のリーグ、そして冬のインカレにも活かしていき、全体の底上げになることが期待される。
リーグ戦の3試合を終了し、日本体育大・日本大・大東文化大・中京大が準決勝進出
全3戦の総当たりとなるブロックリーグは、勝ち点方式で勝者に2点、敗者に1点が入り、最高点のチームが1位となる。3日目までの日程を終え、関東新人戦の1〜3位である日本体育大・日本大・大東文化大が3戦3勝として1位でトーナメントに進出。関東以外の地区連盟からは中京大が筑波大を競り合いの末に倒し、ベスト4に名乗りを上げた。準決勝・決勝は代々木第二体育館に舞台を移し、新人日本一をかけた戦いが行われる。
【PICK UP】立ち上がりからの接戦は中京大が最後に流れを掴む
ブロックリーグ最終日、ともに2戦2勝、勝った方が準決勝に進出する筑波大と中京大の対戦は、1点を争う展開になった。中京大は#5高橋(1年・PG・富田)を起点に外からは#13中野(2年・SG)、インサイドでは#36カミソコ(2年・C)が攻撃力を発揮。リバウンドでは高さで優位に立った。筑波大は出足からややミスが多く、1Qは17-19と中京大がリード。2Q、中京大は#23大古内(2年・SG)の連続スリーポイントや、#36カミソコのオフェンスリバウンド、フリースローなどで10点のリードに成功する。しかし外角シュートが落ちる時間帯やゴール下での惜しいシュートもあり、筑波大に追い上げられていく。筑波大は#13岩下(1年・PG・福大大濠)、#31小川(2年・PG)が攻め込み、#5岡川(1年・C・北陸)も得点に絡み、終盤に#28浅井(2年・PF)のスリーポイントが残り約1分半で決まると、逆転。40-39で前半を終えた。
後半3Q、筑波大がリードしている状況で試合が進むが、#36カミソコを止めきれず、思ったように点差が離れない。一方の中京大は#13中野が速い展開で走り、またスリーポイントを沈めて引き離されまいとついていく。筑波大は最大5点をリードするが、最後は2点差にされ、57-55の2点差で最終Qへ。
4Q、開始早々筑波大は#41大澤(1年・SG・福大大濠)のスリーポイントが決まり、流れを持ってくるかに見えたが、中京大も#13中野のスリー、さらには#15濱田(3年・PF)の速攻も決まり、勢いづいた。そして前半入っていなかった#12高村(2年・SG)のアウトサイドが開始3分で炸裂すると、ついに中京大が逆転。その後もインサイドのオフェンスリバウンド、速攻で加点し、リードを広げにかかる。攻防の終盤戦はディフェンスでも粘り、筑波大のミスを誘う。残り2分、筑波大は#19間山(2年・PF)の得点で1点差に迫るが、その後はうまくオフェンスを展開できず、逆に中京大が加点して68-73。負けられない戦いを制した。
中京大と筑波大は、全体チームでは2020年のインカレで競り合い、中京大はあとわずかで勝利を逃している。今回は新人チームではあるが、その借りを返した格好になった。
中京大は司令塔の#5高橋を起点にバスケットを展開。エース#13中野が23得点、インサイドでは#36カミソコの高さが活き、チーム全体でも連携のいいバスケットを展開した。次戦の準決勝では関東の新人王者・日本体育大に挑む。
筑波大は大事な場面のリバウンドで差をつけられた。平均的な高さはあるが、絶対的センターがいない状態でリバウンドをどう確保するかは、春夏シーズン通しての課題だ。また、攻撃が個々の点の連続となりがちで、決めきれずターンオーバーになってしまう場面も目立った。どちらかといえばシーズン後半に向けて仕上がっていくチームだが、秋に向けて仕切り直したい。