「最後は自分がいかないと次につながらない」強い意思で見せた最後のオフェンス
プレーから感じられる余裕と安定感、それが今大会の内尾(2年・SF)だ。
新人戦とはいえ、シーズンは最終盤。新チームが始動している状態ゆえに、新しいシーズン最初の大会だと捉えてもいい。それだけに、新3年生であり、全体チームでも出番を得ている2年生には、既に新人というより頼れる主力といった雰囲気が漂う。中央大で新人戦キャプテンを務める内尾は、2021シーズンはスタメンとして活躍し、勝負を決めるプレーもたびたび披露している。この新人戦でも安心して見ていることができるだけではなく、勝負どころでも頼りがいのあるプレーでチームを支えている。
チームとして中央大はベスト8で東海大を破る大一番を演じ、ベスト4では波に乗る山梨学院大と対戦。これを延長戦の末に退けた。内尾は最後に勝負を決めるフリースロー、そして最後のシュートで勝利を確定させる、さすがのプレーを見せた。しかし、山梨学院大戦は本人的には反省も多い一戦となった。
「今日の試合は個人的に前半からターンーオーバーもあったし、自分が注意しなければいけないところをミスしていました。最後はそれまでチームに迷惑をかけたし、こういう場面で自分がいかないと明日にもつながりません。シーズンを通しても中央大の中心としてやっていくには、シュートを決めきったり、ディフェンスでハードにやらないと勝てないなと思っていて、あのシュートにつながりました」
調子が悪くてもやるときはやる、それがエースという存在だが、それをしっかり見せてくれた。次はさらなる強敵・大東文化大が相手になるが、そこに挑むためにもひるんではいられない。
「自分としては納得のいく試合ではなかったんですが、チームのみんなで助け合い、11点ビハインドから逆転できたというのは、チームが一つステップアップできた証拠。明日の試合でまた一人一人ステップアップできるよう、やっていきたいと思います」
チームが変わり、役割が変わることで選手として成長
2021シーズンはチームとしても内尾としても飛躍著しかった。高校時代はどちらかといえばディフェンス面での貢献が光ったが、中央大ではそれに加えてスコアラーであり、クラッチタイムにも力を発揮している。そうした変化の理由は、「新しい環境、新しい役割」だという。
「中央大への進学は、プレイヤーとして成長できる環境にこられたと思っています。福岡第一のときは存在感の大きな人がいて、そこに引っ張ってもらっていました。でもチームが変わればできる経験も違います。所属するチームによって役割が変わってくるので、いろいろな経験ができる中大を選んでよかったと思います。今は選手として成長できる環境にいると思います。一方で、福岡第一でサポートキャストとしてやるというのも、決して無駄な経験ではありませんでした」
今大会はミニバス以来というキャプテンを務めるが、本来はそこまでリーダーシップを取るタイプではないという。しかしキャプテンという「役割」が、そこにも作用して彼に新たな経験をさせている。
「本来はしゃべるタイプではないので、練習の時や先輩たちと試合をする時は、そこを指摘されてきました。でもキャプテンをやらせてもらっている以上、このチームを勝たせない といけない義務があります。だからチームのためになるよう、声を出すことも意識しています」
責任感は選手を大きく成長させる。この大会を通じてもう一回り大きな選手になることに期待だ。
「勝ってベスト4にいけたというのは、中央大に勝ちの意識をつける点でもよかったと思います。新人戦はこのシーズンの最初の大会として捉えてやらせてもらっているので、中央大学の一年間のスタートとして大きな意味があります」
ベスト4進出は準優勝した2016年以来だ。この次の壁を突破し、さらに勢いをつけられるか。次の戦いぶりからも目が離せない。