準決勝の2試合は激しいディフェンスの中、強みが生きた日本体育大と専修大が勝ち上がった。一昨年王者と昨年王者による決勝は、長いトーナメントの歴史でも初の顔合わせとなる。
【準決勝】ディフェンスで粘る山梨学院大を専修大が要所で断ち切る
初のベスト4進出を遂げた山梨学院大は1部上位の専修大との準決勝に挑んだ。
試合は開始直後こそ山梨学院大のシュートが出るが、その後は高さに苦戦。前日の神奈川大よりも全体的に大きな相手に、シュートを簡単には打てない状況になった。それでもディフェンスから粘って再三速攻を出す粘りを見せ、1Qは19-13。
2Q、専修大は#97ジョベ(2年・C)の速攻、#6上村(4年・SF)のスリーポイントやオフェンスリバウンドが出て、#8介川(2年・PF)のバスケットカウントで一気にダブルスコアに。しかし山梨学院大は#22伊東(2年・SG)が果敢にアタックしてバスケットカウントやフリースローを獲得。#14菅野(1年・PG・帝京安積)の速攻も出る。しかし前半は31-21。
3Q、ここで山梨学院大は#9齋藤(2年・PF)が速攻、ジャンパー、オフェンスリバウンドで3連続得点。#5中村(2年・PG)のスティールも決まる。しかし#15佐藤(4年・PF)、#12市場(4年・SG)らが加点して流れを断ち切る。それでも山梨学院大は#5中村、#14菅野の連続スリーもあって50-45で4Qへ。
山梨学院大は#9齋藤のスリーポイントでこの試合最小点差の4点差。しかしここで再び#15佐藤、#12市場の早いトランジションからの得点で専修大が逃げる。山梨学院大は必死に追うが、専修大は#8介川、#97ジョベら強みを持つ部分で得点していくと78-64。専修大が山梨学院大の追撃を振り切って決勝進出。
【準決勝】日本体育大がリードして大東文化大を追いつかせず
日本体育大と大東文化大の戦いは、互いに激しいディフェンスからの攻防が見どころになった。日本体育大は立ち上がりから#7西部(3年・SF)が好調。一気に抜け出していく。大東文化大は準々決勝の日本大戦ほどはシュート確率が良くなく、インサイドも#23ムトンボ(4年・C)の前にはばまれ、ゲームの入りで乗り切れないまま終わり1Qは21-13。
2Q、立ち上がりに#5広岡(3年・SG)のスリーポイントが決まって3点差に迫るが、日本体育大は#7西部、#23ムトンボの両者が互いに点を取って再び点差を戻し、前半は34-25と、差を広げられてしまう。
3Q、大東文化大は#99タホリ(2年・C)が3連続得点で粘るが、日本体育大は#41石川(3年・SG)のスリーポイント、#9大森(4年・SG)の速攻など、決めるべく人が決め、最後は#7西部のスリーポイントも出て47-37。大東文化大は奮闘するも点差が縮まらない。4Q、日本体育大はスリーポイントも決まりだし、流れを渡さない。必死のディフェンスとオフェンスで追う大東文化大だが、大きく詰め寄るには至らず。66-54で日本体育大が2年連続決勝へ駒を進めた。
大東文化大はディフェンスの持ち味は出ていたが、リバウンドとインサイドの安定感を欠き、全体的に苦しいオフェンスが多かった。日本体育大も得点自体は一気に伸びることはなかったが、#7西部を筆頭に、決めるべきところで決めて逃げ切り勝利。
【展望】昨年、一昨年のチャンピオンが決勝で激突
日本体育大と専修大が春の関東トーナメント決勝で対戦するのは初。ともに強いインサイドがあり、アウトサイドも個々が得点能力を持つ選手が揃う。一昨年は専修大が我慢を重ね、昨年は日本体育大が勢い溢れるプレーで強敵をなぎ倒し頂点担った。
ここ数年は優勝争いの一角を成すチーム同士、どちらが勝ってもおかしくない。昨年は準決勝で対戦し、3点差の勝利。また、リーグ戦では1勝1敗と実力は拮抗している。主力が大きく変わらない分、互いのやりたいこともわかる。今シーズンは大会前の練習試合では同点で、勝負はつかなかったという。実力拮抗の戦いとなることを期待したい。
【INTERVIEW】「チームとして楽しくバスケをできるように」らしさを活かし4年目に懸ける/#12市場脩斗(専修大・4年・SG)
ダブルキャプテン制を敷く専修大で、今季は當山とともにキャプテンを務める。2年時よりゲームに絡み、ゲームに勢いをつけるプレーを見せてきた。準決勝では11点。山梨学院大が追い上げようとしてくるタイミングで、同じく4年の佐藤(#15)、市場らが相手の攻撃を断ち切るいいプレーを見せた。
─試合を振り返って。
「自分たちのミスもそうだし、相手のディフェンスもやはりプレッシャーが強かったので、そこでバシッとやられてしまったところがあると思います。山梨さんはやはりディフェンスからのチームで、スリーポイントが当たったらすごい。そこは昨年も対戦していますが、メンツが変わってもそんなに印象が変わらないチームです」
─その中で、相手の流れになりそうなときに市場選手のシュートが流れを断ち切っていたように思います。
「前半はチームに迷惑をかけてしまった状態だったので、ここはちょっと決めたいなと思って点を取りに行きました」
─今年の自分の役割は。
「4年目ですし、キャプテンを努めます。声を出すとかは得意ではないので、プレーでしっかりチームを引っ張っていけたらなと思っています。キャプテンは2人でやっていて、専修はゲームキャプテンとチームキャプテンという形で毎年2人いるんですが、當山と2人でやっています。今年はどちらがゲームとかチームという感じではなく、両方がプレーで引っ張っていければなと思っています」
─今年は4年生の人数も多く、安定感もありそうです。
「下級生の時からみんなで一緒に出てきたので、今年こそ全部優勝して終わりたいなと思っています。自分たちのバスケットをやれば強いと思うし、自信を持っているので、ミスをなくして自分たちのバスケをやるということをやり続けるだけです」
─メンバーは大きく変わりませんが、今年の良さは。
「去年はインサイド主体で、今年もインサイドは強くてジョベ(#97)はなんでもやれますが、中と外のバランスをしっかりして、両方から点を取れるチームということを目指しています。ジョベはいろいろできてすごいですが、内外の連携を大事にしたいですね」
─キャプテンとしてはどんなチーム像を目指しますか?
「チームとしては楽しくバスケをやるのが一番いいと思っています。いい雰囲気で楽しい形に持って行きたいなと思っています」
【INTERVIEW】「自ら勢いを補わないといけない」昨年とは異なる立場で迎える決勝に静かに闘志を燃やす/#7西部秀馬(日本体育大・3年・SF)
一瞬の隙をついて抜群の走力で速攻を走りきり、アウトサイドを決める。全員が高い攻撃力を持つ日本体育大だが、西部の破壊力は大きい。準決勝では25点。大東文化大が追い上げるたびに西部の得点で相手の勢いをそいだ。
昨年は筑波大・大東文化大・専修大といずれも強敵を接戦で倒して頂点に立った。しかし今年は追われる側。勢いではなく、着実に相手を倒しての決勝だ。違う立場で迎える決勝でのプレーも見ものだ。
─大東文化大戦を振り返って。
「勝ててよかったなと思います。昨日、調子が悪かった部分があるので、その分を取り返せたかな。昨日は全体的にシュートが落ちている時間が多かったし、相手のペースでやられている部分があったので、今日は自分たちのペースで戦おうとみんなで話し合っていました。今日は日体大らしいプレーができたんじゃないかなと思います」
─外のシュートは今日もチームではそこまで良くない状態でしたね。
「チーム全体で入ってこなかったんですが、でも中のドライブを仕掛けたりして、ロースコアでディフェンスも頑張れていたので、そこが良かったと思います。相手が追い上げて来る間に我慢強くやって勝てたので、いい雰囲気で明日は挑めるんじゃないかな」
─そんな中で西部選手は今日は25得点です。
「相手のピックが、自分がピックを使うとき、あまりディフェンスに出てきませんでした。その分、やりやすかったんじゃないかなと思います」
─メンバーはあまり変わりませんが、今年の良さは?
「今年はガード陣が豊富で3人ぐらいローテーションで使えるし、ビッグマンのラインナップにして2番に僕が入ったりとかもできたりするので、いろんな攻撃の仕方ができます。そこはいいんじゃないかなと思っています。ガードは昨年は月岡(#21)の負担が大きかったんですが、今年は土家(#3)や大江(#35)もいるので分散できますね」
─監督の藤田さんは昨年、西部選手のさらなる成長を期待されていましたが、ご自身ではどうですか?
「言われたいりもしますが、でも藤田さんは自分のペースで言ってくれたりしてるので。だから調子が悪くても自分を使ってくれていたりして、その期待には応えていかないといけないなと思っています。1年の頃からスタートで出させてもらっていて、3年になっても気持ちの部分はあまり変わらないんですけど、上級生になってきたというところでチームを引っ張る側にならなきゃいけない。調子のムラがあるので、そこをなくしていけたらいいなというところです」
─春の大会は昨年は勢いがあって勝ち上がりました。今年は。
「昨年は強豪とあたって勝ちあがっていって、今年は着々と調子を上げて来られている感じです。その分昨年のような勢いがない部分を、自らで補わないと決勝は戦えないと思います。専修大は練習試合でも同点で終わっていて、今年は厄介なチームだと思います。チーム全員で戦わなければ勝てないと思うので頑張ります」