【オータムカップ2020】10/25準決勝レポート

関東オータムカップ2020

ともに逆転からの勝利で大東文化大と東海大が決勝に進出

オータムカップは終盤に入った。準決勝の2試合はどちらに転ぶかわからない中、大東文化大と東海大が抜け出した。両者がトーナメント戦で戦うのは2018年の春トーナメント以来となり、このときは大東文化大が勝利している。決勝での顔合わせは初となる。

また、3位は筑波大と白鴎大の対戦になる。最終日は寮での新型コロナウイルス発生により一試合が棄権になった日本大、またそれに伴って不戦勝となった日本体育大などが4週間ぶりに公式戦に登場し、それぞれ5位、7位の順位決定戦を戦う。

【大東文化大VS筑波大】ディフェンスの良さに加え、3Pも当たった大東大に軍配

昨今対戦機会の多い両者の戦いは、大東文化大が次第に盛り返す形となった。1Qは大東文化大が7-15と出遅れる。しかし2Qになると筑波大も得点が伸びない。大東文化大は#4菊池(1年・SG・藤枝明誠)や#8石川(3年・PG)といったガード陣を投入し、流れを変えにいくと、#8石川のアウトサイドが当たった。3本の3Pでチームを勢いづけると、29-30と盛り返して前半を終える。

3Q、今度は筑波大の得点がストップ。大東文化大は#34バトゥマニがゴール下で存在感を示し、連続得点。#12中村(2年・PG)とのコンビネーションも光り、45-36と逆転。筑波大は6得点にとどまった。4Qも大東大の勢いは途切れない。#2飴谷、#8石川、#12中村らの3Pが次々に入り、リードを守る。筑波大も#11横地(1年・F)、#21笹山(2年・SG)らが反撃を見せるが、差を縮めるには足らず67-56で大東文化大が決勝進出を決めた。

ロースコアでディフェンス勝負という、大東文化大の持ち味が出た試合となり、#21野原や#8石川など、昨年まで出場経験が少ない選手たちの活躍が光った。

筑波大は#75井上(3年・C)が足を痛めて一時ベンチに下がるなど、インサイドの台所事情が苦しい中で起点を欠いた。「気持ちが切れてしまい、最後まで相手のペースだった」と筑波大#4菅原(4年・PG)。「まだ巻き返せる時間帯にチームの気持ちが一つになれず、皆が下を向いてしまった」という。怪我人も続いているが、最後に気持ちを締め直し、3位決定戦に向かいたい。

大東文化大は4年の野原もいいプレーを見せ、シュートが決まるとチームも盛り上がった。

「泥臭く粘った結果。誰が活躍するかわからないところを強みに」◆#2飴谷由毅よしき(大東文化大・4年・主将・SG)

コートを走り回り、攻守でチームを支える。人生初という主将を務めるが、言動にも次第に頼もしさが増している。決勝でも活躍を期待したい。

「今日は粘って勝とうと思っていた。筑波は能力も高いし自分たちよりも大きい。リバウンド・ルーズを心がけて、しっかり自分たちのものにしてからオフェンスをしようという話をした結果が、相手がシュートを落としたときに自分たちがものにできたので、そういうところでリズムを掴み始めてから点が開いた。

4年は自分と野原(#21)が出場していて、人数は少ないが4年が気持ちを出していいチームにしていこうと言っている。野原のような選手が決めるとチームも盛り上がる。今日は石川(#8)も良かったが、大東はいつ誰が起爆剤になるかはわからないところがある。そこで相手もマークしづらいし、そういったところを次でも出して、相手チームにアジャストされづらいチームをあと2週間で作っていきたい」

終盤に3Pも決めた飴谷。

「流れを変えるためにも、常に狙う意識を持っている」◆#8石川晴道(大東文化大・3年・PG)

途中出場で18得点。3Pは6/8を沈め、チームに勢いをもたらした。3年目の今年が試合への本格出場となるが、大東文化大の新たな起爆剤として期待大だ。

「試合の出だしは流れが悪かったので、自分はベンチメンバーとして試合に出ますが、その分アグレッシブにやって流れを変えることを意識していて、そこを表現できた。常に狙うことを意識している。途中から出るのでターンオーバーをしないこと、チームを鼓舞して流れを変えることを心がけている。

2年間試合に出られなかった分、試合に対する気持ちが強い。それをコート上で表現できたらと思う。決勝はどちらが来てもインテンシティが高いので、それにやられないように練習からこの2週間、チームとしても個人としてもレベルアップできるように頑張りたい」

石川はベンチスタートとして心がけることを今後も全うできるかに注目。

「自分がスタートとして引っ張っていかなければならない」◆#12中村拓人(大東文化大・2年・G)

昨年はベンチスタートとして勢いをもたらしたが、今年はスタメンガードとしてチームをリード。そのゲームメイクぶりに注目だ。高校時代から馴染みのバトゥマニ(#34)とピタリと合う、呼吸の良さも光った。

「前半は自分たちのプレーができておらず、苦しい時間帯が続いた。そこで自分たちが自己回復していい方向に持っていけたことで、最後まで粘れて勝ちきれた。

今年はスタートから出るようになったので、出だしを自分が引っ張っていかなければいけない。そこで去年と大きく気持ちが違う。昨年とはメンバーも変わったが、練習もコミュニケーションを取ってやれていると思うし、強度は去年と変わらない部分があると感じる。決勝で勝つためには泥臭いところが鍵になってくる。そこを頑張りたい」

11点と得点でも貢献した中村。

【白鴎大VS東海大】白鴎大が3Qに失速し、東海大が一気に逆転

トーナメント形式ではあまり対戦機会のない両チーム、前半は白鴎大がリードする形となったが、後半に東海大が盛り返した。

1Qは様子見の立ち上がり。東海大は#11大倉(3年・G)がゴール下に切れ込んで得点を重ね、白鴎大は万遍なく個々が得点していくがスコアは伸び切らず12-16と東海がリードして2Qに入る。しかしここで東海大にミスが続き、ターンオーバーを頻発。ボールを獲得した白鴎大が次第に流れを掴み、逆転に成功すると36-26と10点リードで前半を終えた。

しかし3Q、白鴎大が大ブレーキ。東海大のディフェンスが激しくなり、阻まれてタフショットが続く。果敢に攻めてはいくものの、ゴールに届ききらないシュートが続いて得点が入らない。終盤にようやくフリースローで1点を入れるが、3Qは1点に終わってしまった。一方の東海大は#11大倉の得点、#5河村(1年・PG・福岡第一)はディフェンスでも見せて存在感を示すとこのQで一気に37-51と点差を開いた。4Qになるとようやく白鴎大も落ち着いてくるが、東海大の勢いは止まらず得点を重ね、53-73で決勝進出を決めた。

昨年と大きくメンバーが変わらない東海大は安定感が増している。

「前半の課題をしっかり押さえて後半に臨めた」◆#11大倉颯太(東海大・3年・G)

21得点のチームハイ。司令塔でもあるが得点面でもチームを牽引する。Bリーグを経験したことは、スキルだけではなくメンタル面にも変化を与えた。自分で背負いすぎずリラックスしてプレーできるようになってきたという。上級生となって同期たちも成長し、河村という頼れる存在が出てきたこともいい影響を与えていそうだ。

「主に2Qに流れが悪く、ディフェンスのアグレッシブさが課題になった。オフェンスのターンオーバーだったり、単発なシュートからディフェンスにフォーカスできなかったために、ディフェンスもオフェンスも崩れていたので、自分たちのリズムでプレーできなかった。その原因をしっかり押さえて後半に臨めたので、技術というよりは気持ちの部分で締めたことで、チームとしていいゲームができた。決勝に向けてもやることは同じ。インカレもあるので、そこにも向けてこれまでと同じように練習から準備したい」

河村と出ているときは2番起用の大倉だが、そうでないメンバー構成でも、この大会では得点面の積極性が目立つ。

「身体を使って相手のセンター陣に対応していきたい」◆#86八村阿蓮(東海大・3年・C)

今年の東海大のインサイドの要だ。他チームに比べてサイズがない東海大だが、ここまでの対戦では身体を使ったディフェンスで留学生を自由にさせていない。ファウル面の課題もあるが、大黒柱として決勝での働きに期待だ。

「前半10点ビハインドで折り返して、良くない出来だった。後半は今までやってきたことをやろうと引き締めて、いいディフェンスができてオフェンスもいいリズムでシュートを作ることもできた。結果としていいゲームになった。個人的には相手の留学生にしっかり身体を当てて守ることを意識していた。大東文化大は留学生が2人いて、身体が強くて大きい選手の相手をしないといけない。今日と同じように意識してやっていきたい。また、ゴール下が中心の留学生に対して、自分が3Pやドライブをすることでコートが広がると思う。

インサイドの守りは留学生の体力を削ることが一番のポイントになっている。それを僕や佐土原(#23)、張(#10)もできていて、センター陣が身体を使って相手を削ることを身につけてやっている。また、昨年から取り組んでいる3Pは今日は確率は1/4と良くなかったが、打たないと良くならない。多くを打つことは考えていないが、自分のタイミングが来たら打って力をつけていくことが大事だと思っている」

大黒柱としてさらなる飛躍が問われる今年。軽々と跳ぶダンクも連発し、見せ場は多い。

「全員が共通理解の上でディフェンスし、自分たちの流れに持っていけた」◆#5河村勇輝(東海大・1年・PG・福岡第一)

13点、5リバウンド、スティールは2。この試合では得点よりも守りでのプレッシャーに目を奪われた。スピードあふれる攻撃や鮮やかなパスも持ち味だが、ディフェンス力も高い選手。ディフェンスを信条とする東海大らしさをこのあとも見せて欲しい。

「白鴎大は流れに乗らせてしまうと厄介なチームという印象。トランジションが多いチームという認識だったので、そこを守ろうと考えてやっていた。前半はディフェンス強度がなくて、自分たちのオフェンスにフォーカスしすぎてターンオーバーになってしまった。自分たちの持ち味であるディフェンスに目がいっていなかった。後半はディフェンスを再認識して、全員が共通理解の上で自分たちの流れに持っていくことができた。決勝もそこを前半からしっかり考えてやっていきたい。

大学のディフェンスはフィジカル部分は強いが、練習でその強度に慣れてきている。そこは東海大でやれていることが大きいと思う。東海大は施設もいいししっかりトレーニングも積める。学べていることは多いと思う」

激しいプレッシャーからのディフェンスで、見事なスティールも見せた河村。

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