【2022関西リーグ1部】最上級生が力を示し近畿大が制す

関西三冠の最後となるリーグ戦が、約2ヶ月間に渡って開催された。コロナ禍になってから、リーグ戦は3回目。大会開催自体が不透明だったこともあり、救済措置のため一昨年、昨年は降格なし、2部上位2チームは自動昇格とされていたが、それによって今回1部の編成は16チームに。ただ、活動停止処分を受けるチームが出たため、大会自体は15チームが1巡のみによって実施という変則的な形態となった。また、今回は下位3チームが自動降格という厳しいルールも設定されるという異例の多いレギュレーションでの1部リーグとなった。

大混戦の様相を呈しながらも優勝争いは昨年までの上位2校が演じる

近畿大オフェンスのタクトを振るった坂口

全関は近畿大、西日本インカレは天理大が制しているが、近畿大は4戦目に、天理大は5戦目に早々に土がつき、前半から混沌とした様相を呈した。しかし、こうした展開からじわりじわりと抜け出していったのは、昨年までの2強である近畿大京都産業大であった。近畿大は春同様に#56米澤、#23田中、#21坂口の3枚のフロント陣が安定したパフォーマンスを継続。京産大に関しては、まだまだ荒削りながらも#23アジャイ(2年・C)、#10ヒシグバータル(1年・C・明徳義塾)のセンターが中を固め、昨年大きな経験を積んだ#9宇都宮(2年・PG)が華麗なプレーでチームを牽引。下級生の奮闘で最終日の直接対決に臨むこととなった。

勝った方が優勝となるリーグ最終戦の両者直接対決は、近畿大が先行する展開に。前半こそ京産大は何度となく食い下がったが、近畿大はフロント陣に加えて#39岩﨑(3年・C)の活躍も光った。結局経験に勝る近畿大が86-69と余裕の試合運びで押し切り、2年ぶりの優勝を飾った。昨年は京産大がベスト8に入っているため、今年もインカレでは関西1位チームにはシードが与えられる。大会の様式は変わるものの、得られるアドバンテージは小さなものではない。コンディションを万全な状態とし、大会に臨みたいところ。2位京産大は予選リーグからの出場となる。昨年よりも体力的にも厳しい戦いとなるが、前年ベスト8の意地を示せるか。

塗り変わりつつある関西の勢力図

大阪産業大・小栗は、開志国際高時代は全国制覇を経験。4年目にしてインカレに駒を進めることとなった。

今大会のトピックスとして大きかったのは、新興勢力の存在だった。特に数年前までは2部所属であった神戸医療未来大は、これまでどうしても留学生中心と見られがちだったが、#15板敷(2年・PG)がアシスト王に輝くなど、核となる選手が複数現れた。また大阪産業大も、高校時代に十分な実績を持つ#20小栗(4年・PG)や、#7ウデーレ(1年・C・開志国際)だけでなく#51村上(4年・PG)が3P王に輝いたように、チーム全体として着実なレベルアップを遂げている。大阪産業大にとって、インカレ出場は17年ぶり。神戸医療未来大に至っては、これが初めてのインカレとなる。西日本を制している天理大、絶対的エースの#21高橋(4年・SF)を擁する龍谷大ともども、全国の舞台で爪痕が残せるかに焦点が集まる。

また目先のインカレでの戦いぶりへの期待のみならず、これまでの勢力図が着実に塗り変わりつつあることを予感させる大会となったとも言える。この流れが加速するのか、それとも従来の強豪チームが巻き返すのか。来年以降が待ち遠しくなる2ヶ月間であった。

【INTERVIEW】「関西のチャンピオンに恥じないプレーをする」#56米澤協平(近畿大・4年・主将・SG)

カロンジの卒業で、春先は自らの立ち位置やレベル感が分からなかった様子。それ故に秋はインカレ出場を目指すと目標は現実的な設定だったが、このリーグ戦では自信も上向いてきたように映る。かつてソウ シェリフが入学して以来はほとんど常時留学生を擁したが、上位校ではその存在がないにも関わらず2つのタイトルを得られたのは意義深い。インカレは、2年前は5位に到達した舞台。再びの躍進を狙っている。

—優勝おめでとうございます。簡単なリーグ戦ではなかったと思いますが?

「全関に優勝したことで、相手も『今年の近大は案外強いな』と感じたのか、近大に対して立ち向かってくるのを感じていました。最終的に下位になったチームにも接戦ということもあったので、なかなかハードな試合が多かったです。それでも、優勝を目標にやってきたので、優勝できたのは嬉しいです」

—この夏場に重点を置いていたことは?

「今年はとにかく走って、ボールも人も動かしていくバスケットをしていて、そのスタイルで全関で優勝できたので、それをひたすらに磨くだけという感じでした」

—重要になるのは、リバウンドや前に当たっていくディフェンスということになりますが、その部分はこの一年を通じていかがでしたか。

「ディフェンスの部分では手応えはあるんですけど、負けたのは神戸医療と天理という留学生のチームなので、インサイドのシールが強いチームへの対策というのは、これからもっとやっていかないといけないと感じています」

—今時点で、インカレの戦いに関してイメージはありますか。

「今の時点では大会様式が分かっていないんですけど、多分僕たちはベスト16から始まることになると思っていて、相手は2試合消化して勢いがある状態で僕らと対戦するということになると思います。なので初戦の入り方がすごく大事になるだろうなということはイメージしています。そこに向けて、試合勘をしっかりと持って臨んでいけたらと思います」

—春先は自分達の立ち位置が分からない、という話もされていましたが、関西のトップを取り戻しましたね。

「今年はパトリックが抜けてどこまでできるのかが分からないところからスタートでした。インカレには出たいというところからスタートして、こうして優勝できたことには満足していますけど、関西のチャンピオンに恥じないプレーをしないといけないと思っています」

【INTERVIEW】「大会を重ねていき自分自身をもっと成長させられたら」#9宇都宮陸(京都産業大・2年・PG)

昨年からルーキーながらスタメンに抜擢され、インカレベスト8に貢献。充実の1年目を過ごした。北條、上田、サンブの卒業により、名実ともに京産大の顔というべき存在となったが、今年の関西では近畿大の後塵を拝する形になり悔しい表情を見せた。この思いを、年間ラストの場で張らせるか。プレーヤーとして更に一段上の高みに進むために、捲土重来を期す。

—今年は結局関西でタイトルなしになりました。

「そうですね。全関も西日本も、このリーグ戦も、最後の詰めが甘いというか。勝ち切れないことが自分達の課題だと思っています。インカレまであと1ヶ月あるので、細かい部分、ディフェンスでの球際やハッスルを出す部分というのをもっと追求していかないと、勝てる試合も勝てないということになってくると思っています。そういうことを練習中からも意識してやっていきたいと思っています」

—詰めの甘さというのは、何に原因があると感じますか。

「そういうことは慣れも大事だと思うので、練習中であってもそれが当たり前になっていないんだと思っています。練習中からの癖づけをしないとダメです」

—昨年とは周囲のメンバー構成が大きく変わり、負担も大きくなったと思います。

「去年まではアシストをすれば点を取ってくれる方がたくさんいましたが、今年は点を取りに行くという選手があまりいないので、自分はパスだけではなく得点にどんどん絡んでいこうというのは、去年と今年とでは意識が違います。その部分は意識しています」

—下級生とはいえフロアリーダーという立場もあり、責任感という意味ではいかがですか。

「チームの司令塔として、責任感は自分でも去年より強くなったとは思います。それでもチームを勝たせられなかったので、この先インカレもありますけど、大会を重ねていくことで、自分自身をもっと成長させられたらなと思います」

—インカレでの巻き返しに期待しています。

「去年はベスト8まで行けたので、今年はそこを超えたいと思います」

【INTERVIEW】「関東相手でも最後まで勝負していき最終的には勝てるように」#24宮田長源(神戸医療未来大・4年・SF・主将)

2部以下にいた時代から抜群のパフォーマンスを見せていた廣山雅尚や、全国を制した開志国際からシラ アサンが入学するなど才能抜群な選手を抱えながら、地道に強化を続けてきた神戸医療未来大。1部昇格後、3シーズン目でいよいよインカレへの扉を開いた。上位には敵わなかった過去2年とは違い、優勝した近畿大にも唯一の黒星をつけるなど序盤戦から台風の目の1校となった。より安定したパフォーマンスを示すことができれば、自ずと関西のトップも見えてくるはず。目先に控える全国の舞台でも、成長を続けたい。

—今日の結果で初めての3位ということになりましたね。

「そこに関してはめちゃくちゃ嬉しいです」

—近年着実にチームのレベルアップが見られましたが、今年ここまでジャンプアップできた要因は?

「年々チームが強くなっていることは感じていて、それが自信になってきています。それがなかったらインカレ出場はなかったと思います。リーグ戦は全部厳しい試合なんですけど、そういう厳しい試合を勝っていくことで、チーム力が上がっていった結果、3位という結果に繋がったと思います」

—逆にリーグ戦で何か課題はありましたか。

「今年は1試合を通じてディフェンスで勝負すると言っていたんですが、そのディフェンスが崩壊してしまう場面が多かったと思っています。1試合を通してディフェンスで勝っていけるようにしていきたいと思います」

—初めてのインカレになりますが、どのようなイメージを持たれていますか。

「関東のチームは関西よりも力があるので、そういうチーム相手でも、最後まで勝負していって、最終的には勝てるように。あと1ヶ月練習を頑張りたいと思います」

—今日の最終試合は終了後に龍谷大の高橋選手と言葉を交わしていましたね。

「桜宮高校の同級生で、一緒にインカレに行こうと話していたんですが、今の時点ではそれが叶わなくて。彼からは頑張ってきてくれ、という話でした」

(※他の試合の結果、龍谷大もインカレ出場が決定)

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