【2020関西リーグ1部】第1週(9/20〜21)レポート

関西

コロナ禍での関西リーグが開幕1回戦総当たり制の短期決戦に

新型コロナウイルスの流行が、未だ生活面など多方面に影響を及ぼす状況が続く中、関西学生界では感染防止のガイドラインを講じた上で、リーグ戦が始まった。春シーズンは西日本インカレが中止、全関も無期限の延期を強いられたが、リーグ戦は日程を全12チーム総当たり1回戦制に縮小、無観客開催、さらには下部への降格をなし(下部から2チームが自動昇格)とした上で、実施に踏み切った。

 1部は第1週の2日間が終了。2勝したのは京都産業大近畿大大阪学院大天理大。昨年の上位4チームがそのまま好スタートを切った格好となった。一方苦しいスタートになったのが立命館大大阪経済大神戸医療福祉大龍谷大の4チーム。立命館大を除いた3校は今年から1部に挑戦する昇格勢であるが、現実を突きつけられる2試合となった。しかし、どのチームからも前を向いたポジティブな言葉が続いた。短期戦となれば「1つ勝てばチャンスが大きく広がる」(龍谷大・下畑)ことも事実。久々の実戦となる最初の2試合を終え、見えてきた課題をどう次に繋げるか。苦しい戦績が続いても前を向きながら戦い抜くしかない。

【第1週(2日目)終了時点】
京都産業大   2勝0敗
近畿大     2勝0敗
大阪学院大   2勝0敗
天理大     2勝0敗
大阪体育大   1勝1敗
関西学院大   1勝1敗
関西大     1勝1敗
同志社大    1勝1敗
立命館大    0勝2敗
大阪経済大   0勝2敗
神戸医療福祉大 0勝2敗
龍谷大     0勝2敗

2勝スタートの大阪学院大。ラストイヤーとなる吉井も、懸ける思いは強いはずだ。

「勝ちにこだわって目標のインカレ出場につなげたい」◆#14井上敬翔(大阪経済大・4年・SG)

昨年の2部リーグではMVPを受賞。名実ともにチームのエースを担う存在だ。2連敗となったものの、果敢に攻め込む姿には頼もしさが溢れる。1巡のみのリーグで1試合の重みが増した中、出遅れスタートは痛い。それでも巻き返しはまだ可能な圏内にある。類まれなスコアリングセンスを、この先も発揮し続けていくだけだ。

ーまずこの2試合の手応えはいかがでしたか?
「今のメンバーで1部を経験しているのが僕の学年しかいなくて、当たりの部分やサイズでは手応えというものもないんですけど、今のメンバーは去年から出ているメンバーが多いので、オフェンスの部分では少しは手応えを感じました」

ー映像を見ると井上選手が自ら仕掛けていく場面が多かったと感じます。ご自身でも意識されていましたか?
「そうですね。経大のオフェンスというのが僕を中心としたアタックから始まるスタイルなので、1部ということもあって昨日は積極的に仕掛けていきました」

ーチームとして、リバウンド面で苦しんでいるようにも見えました。
「うちにはあまり大きい選手がいないので、リバウンド面は相手が勝ってくると思うので、リバウンドではしんどい思いでした」

ーバスケットの中身として目指しているのは?
「オフェンス重視になってしまうとリズムがどうしても作れないので、どれだけ苦しくてもディフェンスからリズムを作って速い展開にしていくことを心がけていこうと思っています」

ーコロナ流行の影響がチームにもあったと思います。
「春先はできていた時期もあったんですけど、コロナがもう一回悪化して練習ができない期間というのが長く続きました。そういう状況なので、家でも出来るような体幹トレーニングなどは、自主的にでしたがやろうという話はチームでも出ていました」

ーチーム練習ができない時期もあり、連携面での不安はありませんか?
「このリーグに向けて1ヶ月半くらいは練習ができていましたし、去年出ていたメンバーが多いので、連携の部分という意味ではマシかなと思います」

ーインカレの開催も不透明で、このリーグ戦はモチベーション維持も簡単ではないと思います。
「入学当初からインカレに出ることを目標にやっていて、このリーグも1巡だけになって、チャンスはどこにでもあると思います。それでも今はインカレを目標にやれてはいます」

ー1巡のみのリーグ戦で、今後これ以上の敗戦は苦しくなります。
「去年は勝ち試合の方が多かったですけど、1部ではやはり簡単には勝てないので相手ばかりなので、1部を知っている僕たち4回生が後輩たちを引っ張りながら、最終的には勝ちにこだわって目標のインカレ出場につなげたいと思います。残り9試合と限られているんですけど、頑張っていきたいです」

大阪経済大・井上

「苦しくても暗くならずに明るい表情で」◆#35梅村和生(神戸医療福祉大・4年・PG)

初めての1部リーグ、苦い2敗発進となった神戸医療福祉大。実績十分の留学生を擁するが、前年までのエースが抜けた状況での初舞台が、生易しいものではないことを痛感させられた形となった。課題だと分かっていたディフェンスも、昨年の上位2校相手に改めて不安が露呈。立て直しは急務となる。その状況でもチーム状態は決して悪くないという。期間が短いとはいえ初の1部、プレーできる喜びを噛みしめながら最後まで駆け抜ける。

ーまず初めての1部ということで、率直に感じたことは何でしょうか?
「2部から上がってきて、タフさというのは違いを感じます」

ータフさ、というのはどのようなことでしょうか?
「体の当たりだったり、ボールへの執着心であったり、悪い流れの時のチームの団結力であったり。そういう部分が2部とはだいぶ違うなと感じました」

ー2試合とも序盤に出遅れていたのが気になりました。
「2部から上がってきた立場で去年の王者と戦うという状況で、そこで受け身になってしまったところが自分たちの課題として受け止めた部分です。格上相手でも自分たちらしいプレーをすることが今までは強みだったんですけれど、そういうことをなかなか出せずに相手のやっていることに受け身になったことが課題かなとチームのみんなで話しています」

ー神戸医療福祉大が目指しているスタイルは?
「堅守速攻を目指していて、チーム全員でしっかり守って、そこから速いブレイクを出す。走り勝つというのを掲げています」

ーこの2試合ではそれを出すのは難しかった?
「そういうことを試合前に自分たちで話していて、頭の中に入れてやっているんですけど、相手の圧力に押されてそれがなかなか出せないところがありました。まずは自信を持ってプレーすることをみんなで話してやっています」

ーアサン選手をどうしても注目してしまうのですが、アウトサイドでもプレーをしている場面もありました。彼には普段どのようなことを話しているのでしょうか。
「彼に対してプレーを制限させることはあまりありません。練習でどんどんシューティングをさせて、自信を持ってやれるようにとスタッフ陣も言っているので、どんどんチャレンジさせています。アウトサイドもインサイドもこなせられればチームにとっても武器になるので、そういう制限をしてはいません」

ーチームとしても、かなり自由にやるスタイル?
「セットプレー以外のところで一対一や個人技を出すことは、昔から自分たちのスタイルなので、今こうして1部に上がって、それがどれだけ出せるかも試している段階です」

ーこれまでの神戸医療福祉大というと、卒業した廣山選手が去年までは大きな得点源でした。そこが今年いないということで、ここは簡単にはいかない部分ではないかと思います。
「得点源の要だったので、それは痛い部分ではありますけれど、そこで誰か一人が代わりに20〜30点取る、ということではなく、チーム全員で協力して、みんなでバランス良く得点していこうと。自分たちでもオフェンス力の高いチームだと思っているので、それをみんなで均等に得点できるように練習している感じです」

ー他の大学同様に新型コロナウイルス感染対策のためにチーム練習にも支障があったと思います。
「学内ではトレーニングルームが使えませんでした。体育館も、監督が不在の時は自主練習もできない状況でした。平均得点は高い一方で、平均失点もひどかったので、2月のオフシーズン明けからディフェンス練習をメインでやっていこうとしていましたが、なかなかディフェンス練習ができず、自分たちとしては痛かったです」

ーリーグに向けた練習はどうでしたか?
「7月20日からで、最初は2日に1回のペースで練習が許可されて、8月からはチーム練習が完全に再開できたんですけど、コロナの影響で学内でも色々と制限があったので、思いっきり練習する、というほどではなかったです。チーム全体の底上げというところまではできなかったかなと思います」

ーチーム内で話していたことはどのようなことですか?
「ディフェンスが課題だというのは、スタッフ含めて全員が分かっていたので、そういったことをずっと話してきました。この2日間で、どれだけやれるのかということも分かってきたので、それでも自分たちは高い目標を持って。僕たちは『雑草魂』という言葉を大事にしていて、どれだけ踏み潰されても最後には追いついて、という高い意識をぶらさないようにしています。苦しくても暗くならずに明るい表情でやろうと、声を掛け合っています」

ー来週以降も戦いが続きます。
「選手個人個人では、去年の王者相手で『すごかったな』という言葉が飛んでいたんですけど(苦笑)、一方で『楽しみやな』とか『早く練習したいな』とも話していました。暗い表情をしている選手はいなくて、ある意味体感したことでみんなの顔つきが変わったのかなと思います。監督からも、これからもどんな状況でもポジティブにやろう、ネガティブ思考は一切しないという話がありました。常にポジティブ思考でみんなでやっていこうと思っています」

神戸医療福祉大・梅村

「この2敗をどう活かすかが課題だと思って前向きに」◆#10下畑両平(龍谷大・4年・SF)

昨年は入替え戦で流通科学大を下し、1部で戦う最後の権利を手にした龍谷大。力量差をまざまざと見せつけられたものの、一方で通用する部分もあったという。サイズ面で劣る弱点がのしかかるが、伸ばしていくべき長所を見出せたのは心強い。1つでも多くの勝ち星を重ね、上位へ食い込みたい。

ーご自身初めての1部リーグで、2試合戦い感じたことは?
「2部から上がってきたチームで、特に今年は春シーズンがなくて、ほぼ経験のないまま挑んだんですけれど、シンプルにサイズやシュート力、ディフェンス力といったところで相手に劣る部分がたくさんありました。これを来週からの試合にどう活かすかが重要だと思っています。僕たちには失うものは何もない状態から始まっているので、この2敗を次からにどう活かすかが僕たちの課題だと思って、前向きに捉えています」

ー課題が色々と見つかったと思いますが、一番痛感したことは何ですか?
「僕たちは他に比べてサイズがないので、まず全員でリバウンドを確保する面。技術面でも劣っている部分が多いので、リバウンドやルーズボールでどのチームより泥臭くやることが一番必要になるチームだと思っているので、そこを大事にしてこれからに繋げていきたいなと思っています」

ー今年これまで、練習できない時期はどのように過ごしていましたか?
「必要な時は各自リモートでつないでトレーニングをやったり、1、2回チーム全体でミーティングということはありました。ただそのトレーニングというのも強制的なものではなかったので、1部と戦う準備という意味では少し足りない部分もあったかもしれないです」

ーミーティングをされたということですが、そこではどのような話がありましたか?
「まずは各自体調管理を怠らないこと。そこからインカレを目指そうという話をしつつ、こんな状況になってしまったことで前年までの選手ごとのプレーぶりを考えてチームを作るということができない、去年まで出ていたから今年も出られるということはないので、全員が同じスタートラインに立っているから、みんなが次に会った時からは全員がライバルだと思って戦おうと話しました」

ー今年はリーグの日程自体も短くなりました。
「そうですね。例年だと2巡しますが、今年は1巡だけで、逆に僕たちからすれば1つ勝てばチャンスが大きく広がると感じました。マイナスに捉える部分はなかったですね。逆に1巡だけになってラッキーに感じました。回数が減って寂しい部分もありますが、目標に影響が出る部分ではなかったので、4回生中心にもう一回モチベーションを持って頑張ろうと思っています」

ー翌週以降に向けた意気込みをお願いします。
「今週の京産、近大とのゲームの反省点を踏まえて次に臨んでいくことと、通用した部分もあったと感じたので、そこは自信を持ってやっていけばいいと思います。チャレンジする立場のチームが余裕を持って戦うわけにはいかないので、どんどんチャレンジ、アタック、トライをやっていくだけです。負けてもうじうじしていられないので、マイナスな発言なしで練習から取り組んでいくつもりです」

ー通用したと感じる部分、具体的にどのようなことですか?
「サイズが小さくて、留学生相手にインサイド勝負では劣りますが、アウトサイドからセンターが一対一をするような、ストレッチファイブじゃないですけど、全員が中も外もできるような柔軟性のあるチームだと思っていて、そういう部分は通用していたと思います。あとはアグレッシブなディフェンスから速攻を出すことが目標なので、ファウルを恐れずに全員で気持ちを持って戦うこと。チーム全体で40人いるんですけど、チーム一丸という意味では他に劣ってはいないと思っています」

龍谷大・下畑

※第1週のインタビューはリモートで実施しました。
(写真提供:関西学生バスケットボール連盟)

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